19日、連邦最高裁のジウマール・メンデス判事は、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)を担当する連邦警察や検察が頻発に使っている、強制連行の上で事情聴取を行う「コンドゥサン・コエルシチヴァ」を禁ずる暫定令を出した。これでLJ捜査などに影響が出るのは必至となりそうだ。20日付現地紙が報じている。
メンデス判事の判断は、労働者党(PT)とブラジル弁護士会〈OAB〉がそれぞれ出していた強制連行の見直し要求に応じたものだった。
強制連行については、ラヴァ・ジャット作戦がはじまった2014年から、刑法学者が問題にしていた。
メンデス判事はこの日、強制連行は「短時間とはいえ、捜査対象の容疑者や被告の移動の自由を奪うもので、無実を主張しにくくさせるものでもある」とし、「違法」との見解を示した。
メンデス判事のこの判断は、「刑法上の疑惑捜査に関する事情聴取のために出頭するよう命じられた人物が、正当な理由もなく出頭しなかった場合は、当該者を当局に連行することができる」という刑法201条に基づいたものだ。同判事は、強制連行は、出頭することを拒む権利の行使も妨げているという。
LJでの強制連行は、身柄を拘束するほどではないと判断された容疑者に適用されている。多くの場合は複数の容疑者に並行して用いられ、容疑者同士が作戦実施を知らせあったり、前もって口裏を合わせたりすることや、証拠物件を処分したりするのを避けることを可能にしていた。
今回の判断に対し、PTのルーラ元大統領の弁護人のクリスチアーノ・ザニン・マルチンス氏は「法に従った妥当な判断」とし、OABのジュリアーノ・ブレダ氏も、「憲法に則った判断で、刑法実践上の新しいモデルを明確に示したものだ」と評価した。
だが、全国連邦検察員協会(ANPR)のジョゼ・ロバリーニョ・カヴァルカンチ会長は「これでは検察側は(強制連行よりも強い)一時逮捕を増やすことにつながりかねない」とし、「メンデス判事が出した暫定令が見直されることを望んでいる」と語った。
LJの場合、パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は222件の強制連行令状を出しており、リオ州でも34件の令状が出ている。
また、最高裁大法廷は19日、ペトロブラスに直接関係した疑惑ではないとの理由で、テメル大統領元側近のロドリゴ・ロシャ・ロウレス被告とジェデル・ヴィエイラ・リマ被告、元下院議長のエドゥアルド・クーニャ被告といった民主運動党(PMDB)関係者で、免責特権を失った被告に関する審理を、モロ判事から取り上げてブラジリアの連邦地裁で行う判断も下している。メンデス判事も「取り上げる」側で1票を投じていた。