ブラジル福岡県人会(平山イナシオ秀夫会長)は17日にサンパウロ市リベルダーデ区の東洋会館で、母県より和太鼓が寄贈されて15周年であることを祝して式典を開催した。会場には各地の太鼓チームや普及に貢献した人など約100人が集まった。15年前に寄贈された長胴太鼓6個と締太鼓2個の計8個は、各地のチームで使用され、当地での和太鼓普及に大きな役割を果たした。
和太鼓人口は数千人とも言われるが、その歴史はコロニアに根付く他の日本芸能と比べて浅い。普及のきっかけとなったのは1998年、矢野ペードロ元会長が来伯した福岡県交流国際センターの藤本英夫専務理事に和太鼓提供を指導者招聘を申し出たことだった。
2002年3月に「ブラジルに和太鼓を贈る福岡県有志の会」が太鼓を寄贈し、同年7月にJICAから初の太鼓指導員、小田幸久さんが派遣された。04年にブラジル太鼓協会が設立されから、組織だって太鼓普及に取り組み始めた。
寄贈された太鼓はこれまでにサンパウロ州、パラナ州で使われていたが、皮がダメージを受け、音が変わってしまっていた。15周年に際し、和太鼓が福岡県人会に返還され、長胴太鼓6個の修理が行われた。
式典では太鼓普及における功労者29人に金のプレートが贈呈された。平山会長は「短期間で当地で太鼓が普及したのは、日伯両方の関係者の尽力があったからこそ」と謝意を滲ませた。
福岡県人会は現在、自らの太鼓チームを持っていない。平山会長は「なんとかチームを復活させて、来年の移民110周年のイベントで演奏したい」と話した。