カルドーゾ元大統領(在職1995~2002年)が2日付エスタード紙で10月の大統領選の展望について語る中、同氏所属の民主社会党(PSDB)の有力候補であるジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事に注文をつけると共に、長年のライバルで復活当選を目指すルーラ元大統領(労働者党・PT)についての言及などを行っている。
カルドーゾ氏は現在のブラジルの状況に関して、経済状態がよくなっているとプラスの評価を下しており、「もし、国にとって信頼できる人を選ぶことができるならば、ブラジルは確実に前進することができるだろう」と肯定的な見方を表明した。
一方、カルドーゾ氏は「今年の選挙で恐れていること」として、「中道が一致団結できない場合」をあげた。
同氏が恐れているのは、2016年のリオ市長選の際に、ウニベルサル教会との結びつきの強い保守派のマルセロ・クリヴェラ氏(ブラジル共和党・PRB)と急進左派のマルセロ・フレイショ氏(社会主義自由党・PSOL)という、両極端な思想を持つ候補者が決選投票を争った時のような事態が、今年の大統領選でも起きることだ。
現時点での大統領選世論調査では、左派から絶対的な支持を集めるルーラ氏と、極右路線のジャイール・ボルソナロ下議が1、2位を争っている状態だ。
こうした「二極化」を避けるためにも、カルドーゾ氏は、アウキミン氏が有力だと見られているPSDBの大統領候補に関しても、「アウキミン氏が中道をまとめられなかった場合は、中道をまとめる能力があることを実証できる別の候補を立てることもありうる」と話した。
PSDBは現在、テメル政権の連立与党を離脱することが確実な状況にあるが、「連立政府が擁立する候補と、PSDBの候補が対峙する可能性はありうるか」との質問に対しては、「望ましいことではないが」としながらも、「ありうる」と答えている。
元大統領の見解では、「良いか悪いかは別として」としながらも、米国でのトランプ氏も、フランスでのマクロン氏も結局は国民をまとめることが出来たから大統領になれたとしている。
また、カルドーゾ氏はルーラ氏に関して、同氏が圧倒的な世論の支持を受けているのは、「ペルーにおけるフジモリ支持者や、アルゼンチンにおけるペロン支持者と同じ」とし、「教育レベルの低い国では、ああした倫理観に欠けたポピュリストを支持する傾向がある」と切り捨てた。また、ルーラ氏が1月24日に行われる第4地域裁(TRF4)での第2審でも有罪となっても、「ブラジルは何もおそれることはない」とした。
またボルソナロ氏に関しても、「私が大統領時代から議員だったが、私を殺したいと語った以外に何ら大きな主張もしていない」と切り捨てた。