石油公社ペトロブラス社は3日、ラヴァ・ジャット作戦による同社を巡る汚職摘発によって株価が暴落して損害を被ったとして、米国の株主たちが起こしていた集団訴訟において、およそ30億ドルの賠償金を支払うことで合意に達したと、3、4日付現地各紙・サイトが報じた。
和解には、米司法当局による承認が必要だが、成立すれば、米国における企業犯罪発覚による株価暴落の損害賠償としては10位の額となる。
ペトロブラス社が合意に応じた理由の一つは、裁判が陪審裁に持ち込まれるのを避けるためだ。陪審裁での決着となれば、賠償額がずっと高額になる可能性が高かった。
賠償金の支払いは、17年第4四半期の決算に反映される。レアル換算で100億レアルに上る賠償額は、同社が第1~第3四半期(1~9月)に計上した利益の2倍、ラヴァ・ジャット作戦によって回復された金額の6・5倍に相当する。
100億レの損失は痛手だが、賠償金はもっと高額になる事が危惧されていたため、市場は、ペトロブラス社にとって有利な合意だったと評価している。合意成立後、3日の同社株は、優先株が0・91%、通常株も1・27%上昇した。
JPモルガン銀行は、賠償金100億レは、ペトロブラス社の企業価値そのものの4%に及ぶ額だが、これにより、賠償金がどこまで膨れ上がるかという不安は解消されたと見ている。格付会社ムーディーズも、300億ドル規模の会計をやりくりするペトロブラスにとって30億ドルの賠償金はさほど深刻なものではないと見ている。
この訴訟は、ペトロブラス内の汚職摘発によって損害を受けた株主たちが、2014年に始めていた。今回の訴訟の他にも、ペトロブラスは米国で13件の訴訟を抱えている。
勢い付くブラジル内の原告団、しかし…
米国での合意成立は、ブラジル国内で同様の賠償をペトロブラスに求めている人々を勇気付ける結果となった。
少数投資家協会(Aidmin)副会長のロマノ・アレグロ氏は、2000年8月に8万レアル分のペトロブラス株を購入したが、11年後にはペトロブラスの汚職関与を疑い、保有株の99%を処分した経緯がある。同氏は「ペトロブラスは汚職の被害者なんかではない。本当に被害者なら30億ドルも支払うはずがない」という。
しかし、企業関連の法律専門の弁護士らの見方は懐疑的だ。米法廷で賠償金支払いに合意したことはブラジルでも同様にすることは意味せず、「これでブラジルの原告団が楽観的になることは出来ない」としている。ペトロブラスは、ブラジル国内で起こされた損害賠償請求には応じない意向だと報じられている。