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《ブラジル》ギャング集団PCC=ベネズエラからの移民を勧誘=ロライマ州の刑務所の中で=同州は緊急事態宣言も発令

昨年10月にテメル大統領(左)と会談した、ロライマ州のカンポス知事(右)(Alan Santos/PR)

昨年10月にテメル大統領(左)と会談した、ロライマ州のカンポス知事(右)(Alan Santos/PR)

 マドゥーロ政権が独裁体制を敷き、経済危機が深刻化するベネズエラから、ブラジルへの移民流入が急増している。ブラジルに入国しても、経済的困窮により犯罪に手を染め、刑務所に入ってしまうベネズエラ人が増える中、サンパウロ州に本拠地を構える犯罪組織の州都第一コマンド(PCC)が刑務所内のベネズエラ人を組織に勧誘していると、5日付現地紙が報じた。
 ロライマ州はブラジル北端に位置し、ベネズエラと国境を接する。州都ボア・ヴィスタには同州最大のモンテ・クリスト農業刑務所(PAMC)がある。
 1200人余りが収容されているPAMCを支配しているのは、ブラジル全国規模の犯罪組織、州都第一コマンド(PCC)で、そこに入ってくるベネズエラ人を組織に勧誘している。
 ベネズエラの政治危機、経済危機により、同国と国境を接するロライマ州パカライマ市や同州州都のボア・ヴィスタ市では、2016年末以降、ベネズエラからの移民流入が増えており、路上には多くの物乞いがあふれている。
 また、ベネズエラ人による窃盗、燃料や薬物の密売などの犯罪も増えている。この状況を利用しているのがPCCだ。武器や薬物の調達や流通、資金洗浄のため、ベネズエラ人を組織に勧誘し、組織の国際化や、国外との取引ルートの強化を狙っている。
 PCCに関する著作もあるサンパウロ州検察局検事のマルシオ・クリスチーノ氏は、「PCC最大の関心事はベネズエラでの資金洗浄だ」と語っている。
 ロライマ州法務市民局副局長で軍警大尉も務めるジエゴ・デ・ソウザ氏は、「ベネズエラ人がPCCに取り込まれている動きは察知している。これは、ベネズエラからの不法移民の増加と流入が制御できていないことが原因だ。ベネズエラ人は脅迫されて仕方なく、犯罪組織に取り込まれてしまう」とした。
 昨年1月にPAMCで暴動が起き、囚人31人が死亡した後、州法務市民局は、PCCに敵対する囚人を他の刑務所に移送する事を決めた。
 在ボア・ヴィスタ、ベ国総領事のガブリエラ・ドゥチャエルネ氏は、「ベネズエラ国民が犯罪組織に入るよう脅され、拒めば報復が待っているという状況はおおむね真実だが、彼らは多くを語らないので詳細は不明だ」と語った。
 昨年12月4日、ベネズエラ人移民流入のため、同州のスエリー・カンポス知事(進歩党・PP)は緊急事態宣言を出し、「人道的支援をするにも、州の職員は深刻な困難に直面する事になるだろう」と述べた。
 法務省の16年7月付のデータでは、ブラジル国内の囚人72万6千人の0・3%にあたる2600人は外国人で、その56%は南北アメリカ大陸出身者だった。当時、ロライマ州の外国人の囚人は31人で、全体の1・3%だった。