ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ボルソナロ氏のPSL移籍決定=反発した党員が大量離脱=選挙放送時間でダメージも=住宅スキャンダルも噴出

《ブラジル》ボルソナロ氏のPSL移籍決定=反発した党員が大量離脱=選挙放送時間でダメージも=住宅スキャンダルも噴出

ボルソナロ氏(右)と息子のエドゥアルド氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

ボルソナロ氏(右)と息子のエドゥアルド氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 5日、大統領選の世論調査で支持率2位の極右政治家、ジャイール・ボルソナロ下議が社会自由党(PSL)に移籍することが正式に決まった。だが、7日には、クリーンであることを主張する同氏に資産倍増スキャンダルが報じられるなど、同氏にとって、大統領選の年は波乱含みのはじまりとなった。6、7日付現地紙が報じている。

 元軍人のボルソナロ氏は、同性愛者、女性、黒人、ユダヤ人などに対する差別主義的な発言で、ネットを中心に話題を集めており、左翼のルーラ元大統領や労働者党(PT)がラヴァ・ジャット作戦などで社会的な批判の対象になる中で、その支持率を上げていった。
 だが、かねてから大統領選出馬を希望していながらも、所属政党だったキリスト教社会党(PSC)からの出馬公認が得られなかったボルソナロ氏は、小政党の全国環境党(PEN)に移籍することで話を進め、同党も名前を「愛国党」に変更することで同氏の期待に応えようとした。
 だが、昨年12月になり、PEN側がボルソナロ氏の同党を支配しようとする態度に強い難色を示し、関係が決裂。その結果、同氏がPSLに交渉を持ちかけたところ、同党党首のルシアノ・ビヴァール氏との間で話がまとまり、5日、正式に移籍発表となった。
 だが、ビヴァール氏が下した決定に対し、PSL内では強い反発が起きた。同氏の息子で党内グループ「リーヴレス」のリーダー、セルジオ氏が同グループの離党を発表したのだ。
 PSLは、大統領選での選挙放送の基準となる下院議員の数が3人で、放送1回につき10秒程度とただでさえ少ないが、これがさらに削られる可能性がある。
 そして7日、フォーリャ紙がボルソナロ氏にとって初の大きな疑惑を報じた。同氏と、政治家になった3人の息子(長男フラヴィオ氏はリオ州議員、次男カルロス氏はリオ市会議員、三男エドゥアルド氏は下院議員)の4人は、リオ市の高級住宅街などに13軒の不動産を所有しており、その時価総額は1500万レアルに及ぶというのだ。4人の資産はここ10年間で急増している上、市役所が算定した評価額を大きく下回る額で購入。不動産の時価総額は4人が申請している年収合計の3倍にあたるが、その他に、ジェットスキーや車といった動産や、170万レアルの金融資産も有している。
 2008年に申告した資産に含まれていた不動産は3軒のみで、資産総額も100万レアルに過ぎなかった。
 ボルソナロ氏の主要な資産はリオ市でも最も評価額が高い高級住宅街にある二つの邸宅で、両方合わせれば最低500万レアルの価値があるのに、同氏は一方を09年に40万レアルで、他方も12年に50万レアルで入手している。
 金融活動管理審議会と連邦不動産評議会によると、同氏は住宅購入の過程で資金洗浄を行っていた疑いがあるという。