ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》クリスチアーネ新労相の就任に待った=労働裁判有罪の過去で=2審が差止め支持、最高裁へ=背に腹かえられぬ連邦政府

《ブラジル》クリスチアーネ新労相の就任に待った=労働裁判有罪の過去で=2審が差止め支持、最高裁へ=背に腹かえられぬ連邦政府

クリスチアーネ・ブラジル氏(右から2番目・Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

クリスチアーネ・ブラジル氏(右から2番目・Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 9日に新労相就任が予定されていたクリスチアーネ・ブラジル氏(ブラジル労働党・PTB)の就任が裁判所によって差し止められたことにより、テメル大統領は最終的な判断を最高裁にあおぐつもりだと、10日付現地紙が報じている。

 クリスチアーネ氏は3日、テメル大統領から、12月下旬に辞任したロナウド・ノゲイラ氏(PTB)に代わる労相として指名を受けた。翌4日には官報に就任が掲載され、9日に就任式を行う予定だった。
 だが、その直後、クリスチアーネ氏の不祥事が暴露された。2012~14年に元運転手とされる男性を正規雇用しないまま長時間労働させ、2016年にリオ労働地裁から6万500レアルの賠償金を払うよう命じられていたことと、リオ州の労働地域裁が昨年7月に同判決を支持し、追徴金の支払も命じたことが報じられたのだ。
 クリスチアーネ氏は、別の運転手にも1万4千レアルを分割で払うことを約束したが、その金が部下の口座から支払われていたことや、議員割当金の一部を秘書室長の伯母の経営するレンタカー会社に支払っていたことも判明している。
 こうしたことから、リオ地裁が8日に、クリスチアーネ氏の就任差し止めの判断を下した。
 この判断に対し、連邦政府は、国家総弁護庁(AGU)を介して控訴を行った。だが9日、リオにある第2連邦地域裁(TRF2)が地裁の判断を支持。クリスチアーネ氏の就任差し止めは保たれた。
 これにより、9日の午後行われる予定だった就任式はキャンセルされ、テメル大統領はクリスチアーネ氏、同氏の父でPTB党首のロベルト・ジェフェルソン氏、同党下院リーダーのジョヴァイール・アランテス氏と会談を行った。
 この会談で、同党からクリスチアーネ氏に代わる労相が推薦されるかとも予想されたが、同党が「代替案はない」と明言したため、テメル氏も同党側の意思を尊重し、クリスチアーネ氏を降ろすことはしなかった。
 テメル大統領としては、クリスチアーネ氏の就任を取りやめることでPTB側の心証を悪くすれば、2月19日に迫った社会保障制度改革の下院投票で、さらに票を失うことになることを恐れてもいる。現時点で確保できている賛成票は260票で、承認規定の全体の60%(308票)に届いていない。
 下院でのPTBは、社会秩序共和党(PROS)や社会自由党(PSL)などと一つのグループを組み、26議席を抑えている。
 ロベルト・ジェフェルソン党首は9日、「私の娘であるせいで被害に」と悲しんでいた。ジェフェルソン氏はメンサロン事件の暴露者として知られ、同事件で有罪となり、服役もしたが、2015年5月に自宅軟禁となった後、16年3月に赦免となっている。