ブラジル連邦政府はこの10年間、税金滞納に関わる罰金や利息の免除を繰り返し、本来なら徴収されるべき1760億レアルを徴収しそびれてきたと10日付現地紙が報じた。
債務者たちはこの期間中、Refis(滞納税回収計画)など、主に九つの分割納税計画による恩恵を受けてきた。1760億レアルは、昨年の政府の社会保障会計で生じた赤字とほぼ同額だ。
Refisは、法人に対し、滞納されている税金の金利、罰金などを減額し、分割払いを認めるものだ。これを申請する企業は多くの場合、金利がもともとの滞納額より大きくなっている。
連邦議会は昨年だけで5回のRefisを承認した。その中には、州や市が抱える債務の返済に関連するものも含まれている。
テメル大統領は9日、企業側が払うべき、農業労働者支援ファンド(Funrural)に関する負債の分割払いを認めた法案の一部に拒否権を行使した。昨年の大統領告発阻止に向けた議員たちとの取引として、「Funrural滞納金に対する罰金を帳消しにする」との項目は、25%の減額が保たれた。
これまで、一番減額が大きかったのは、08年12月から09年にかけて行われた、危機回避Refis第1弾(Refis da Crise1)だ。これは米国に端を発した08年の国際金融危機、リーマン・ショックの影響で危機に陥ったブラジル企業を救う措置だった。これにより、総額600億レアルを超える利息や罰金が免除され、合わせて88万6千の企業、法人が恩恵を受けた。
サンパウロ総合大学(USP)の金融法学者エレーノ・トーレス氏は、「企業間には、政府の徴税機構が脆弱だと知れ渡っており、裁判に訴えることが常態化している。いくら支払いを遅らせても、大幅な罰金免除などを受ければ、税滞納による痛手はほとんど受けずに済み、真面目に期日どおりに納税する企業が馬鹿を見る。これでは誰も納税期日を守ろうとしない」と語る。
経済開発協力機構(OECD)が加盟35カ国中26カ国を対象に行った調査では、税金の分割支払い期限は、通常12~24カ月が限度で、ブラジルのような、60カ月~240カ月の支払期限は全く常軌を逸している。
ジョルジ・ラシジ国税庁長官は、今後行き過ぎた分割を制限するための税制変更法案を作成する可能性も示唆した。