ついに幕開けとなった日本移民110周年の〃遺産〃として、東洋街活性化の検討が進められている。サンパウロ市と日系社会との移民110周年記念官民合同事業の一環として設置された「東洋街活性化部会」の第1回会議が8日召集され、取組むべき項目について協議が行われた。早ければ「移民の日」の6月までには、リベルダーデ広場で何かしらの形で改装工事が進められそうだ。
8日の会合では、クラウジオ・カルバーリョ地区役所統轄局長、セー区のエドアルド・オヂロック地区長、野村アウレリオサンパウロ市議、高元次郎在聖領事、池崎博文ACAL会長、菊地義治110周年実行委員長、宮坂国人財団の西尾ロベルト義弘理事長らが出席した。
ドリア市長の意向を受け、東洋街活性化の方針ついて説明した同統轄局長は、「他の民族共同体と協力実現した市の空間活性化は非常に反響がよい」と語り、執務室の窓から一望できるアニャンガバウーの「プラッサ・ハモス」を指差した。
サンパウロ市立劇場の建築家を顕彰し、1928年に落成した由緒ある同広場。近年は〃見放された場所〃として悪評が立っていたが、ドリア市政下に7カ月間の改修工事を経て、昨年末に再オープンした。
噴水には数年ぶりに水が戻り、モニュメントも改修された他、新たな外灯を設置。歩道や庭園も改修され見事に蘇った。
この再開発には、伊国の進出企業及び当地の伊系民間企業24社が350万レを共同出資し、在聖イタリア総領事館とサンパウロ市役所の支援の下に行われた。これを手本とし、東洋街でも日本進出企業や当地の日系民間企業からの出資を得て、活性化を進めていく方針だ。
クラウジオ統轄局長は「長い間、東洋街は修復や近代化がなされてこなかった。観光地として賑わう同街には、それに見合ったものが必要だ」と語った。
会議では、東洋街が抱えるインフラや治安、衛生上の課題が上げられ、議論の末、鈴蘭灯の修復、リベルダーデ広場の改装、大通り、ガルボン・ブエノ、エストゥダンテ、グロリアなど主な街路の景観整備、ポウボラ広場の改修、歩道の修繕等が盛り込まれた。
野村市議は鈴蘭灯について、「移民百周年で改修されて以来、手入れされていない。東洋街の象徴的なものであり修復が不可欠」と強調。まずは数とその状態について実態調査を行うとし、洗浄や塗装、取替えを含めた修復が行われる。
リベルダーデ広場は、半分はメトロの敷地であることと、広場が様々なイベントで使用されるため、小規模な改装となる見込み。交番設置の可能性とその意義についても議論された。歩道修繕については、「日系人は高齢者が多く、歩く習慣がある。歩きやすいように整備されればアクセスも良くなる」と同統轄局長は意義を語った。
今後これらの議論を踏まえ、建築家により設計案が作成された後、30日に開催される市行政長と主要日系団体代表者による「第3回全体会合」で提案される予定。進出企業や日系社会からの資金協力を得られるかが今後の課題となりそうだ。