【既報関連】今年も新年早々に、ブラジル中西部のゴイアス州都ゴイアニア市近郊のアパレシーダ・デ・ゴイアニア複合刑務所で暴動が起き、囚人9人が死亡、14人が負傷する事件があった。
ブラジルの刑務所は囚人の超過収容、刑務所内を支配する犯罪組織、老朽化する設備、一向に減らない脱走や刑務所内での殺人といった、慢性的な問題を抱えている。昨年1月に相次いで刑務所内虐殺事件が起こり、合計126人が死亡した、アマゾナス州、ロライマ州、リオ・グランデ・ド・ノルテの3州での改善が遅々として進まない様子を11日付現地紙が報じた。
昨年の刑務所暴動頻発後、カルメン・ルシア最高裁長官が立ち上げた、刑務所の緊急改善計画も成果をあげていない。同長官は今月8日にもアパレシーダ複合刑務所を視察する予定だったが、安全性が確保できないとの理由でキャンセルされてしまった。
マナウス市刑罰執行法廷のルイス・ヴァロイス判事は、「我が国では、19世紀帝政時代の憲法にある、『刑務所は定員超過を起こしてはならず、囚人は犯罪から隔離されなければならない』の条文さえ守られていない」と語る。
昨年1月1日には、アマゾナス州アニージオ・ジョビン複合刑務所(Compaj)で暴動が起こり、囚人59人が殺害された。
事件の後、Compajの収容者数は1224人から996人に減ったが、定員は454人で、依然、定員の2倍以上の囚人が収容されている。
同州は新しく刑務所を建てるなどして、2020年までに収容率を定員の75%までに下げる事を目標としている。
ロライマ州都ボア・ヴィスタにある、同州最大のモンテ・クリスト農業刑務所(PAMC)では、昨年1月6日に33人の囚人が殺される事件が起きた。
同州刑務所職員協会会長のリンドマール・ソブリーニョ氏は、事件以降の変化として、犯罪集団コマンド・ヴェルメーリョ所属の囚人を他の刑務所に移送した事と、刑務所内に建てられていたバラック小屋を解体した事をあげた。
同氏もまた、ロライマ州の最優先事項は、PAMCに代わる近代的な刑務所建設であるべきだとしている。
昨年末から、今年初めにかけて22日にも及ぶ警察のストが発生したリオ・グランデ・ド・ノルテ州は、この2年間で3回目となる軍の出動要請を出すに至った。
今回の警察ストの混乱は刑務所機構にまでは及ばなかったが、同州都ナタール市都市圏にあるアルカスス刑務所でも、昨年1月に暴動が発生し、26人が死亡している。同刑務所の収容定員は620人だが、現在も、昨年の暴動発生時とほぼ同じ、1200人余りを収容している。