【既報関連】世論調査で大統領選の支持率2位のジャイール・ボルソナロ下議に、7日付フォーリャ紙で浮上した住宅疑惑に続き、同氏がリオ州に持つ別荘の近くでアサイーを売る女性を議員秘書として登録し、給与を払っていたという新たな疑惑が浮上した。12日付フォーリャ紙が報じている。
ボルソナロ氏はルーラ氏や労働者党(PT)とは対極の極右政治家で、「汚職をしないクリーンさ」を標榜し、ネットを中心に支持者を集めている。ところが、7日付フォーリャ紙は、同氏とリオ市議、同州議、下院議員の3人の息子は、ここ10年間で急激に資産を増やし、13軒(市場価値は総額1500万レアル)もの不動産を所有している上、その中の2軒は、ボルソナロ氏本人が安価で購入した疑惑について報道(弊紙では9日付本面記載)した。
また、8日付同紙は、ボルソナロ氏と三男のエドゥアルド氏は、ブラジリアに住居を持っているにも関わらず、「ブラジリアで生活しておらず、議員宿舎に入っていない下議」に月々4253レアルずつ支払われる住居手当を受け取り続けており、その総額が73万レアルにも上っていると報じている。
さらに、12日付同紙の報道によると、ボルソナロ氏の議員秘書14人の1人は幽霊秘書だ。この秘書は2003年からずっと勤務していることになっており、現在の給与は1351・45レアルだという。
この人物はヴァルデリセ・サントス・ダ・コンセイソン氏(49)で、リオ州アングラ・ドス・レイスの中心部から50キロ離れたマンブカーバという地区でアサイーを売る食堂の経営者だ。
マンブカーバにはボルソナロ氏の別荘があり、ヴァルデニセ氏は別荘がある通りに住んでいる。また、夫のエデニウソン氏は、ボルソナロ氏の別荘の管理人だ。このことは、フォーリャ紙の記者が11日に現地に赴き、複数の近隣住民に取材を行って確認している。
なお、ヴァルデニセ氏は11日、フォーリャ紙の取材陣が地域に入ったとの情報が流れた後、慌てて店を閉めている。
これらの疑惑に対し、ボルソナロ氏は同紙の取材陣に反論した。住居手当の件では、これまで受け取った分は正当だと主張した上で、「ブラジリアにある物件は売るつもり。これから、議員宿舎への入居を申し込む」と述べた。
また、安価での住宅購入も、「あれは知人から買ったものだ。知人が提案した額がその額だったのだから、責任は彼にある」と反論した。
さらにボルソナロ氏は10日に自身のフェイスブックで動画を発表したが、同氏はアングラ・ドス・レイスの別荘に行き、「ここに私が豪邸を持っているということになっているらしい」とフォーリャ紙の報道を皮肉った。同紙の報道では「98年に同地に土地を所有していると申告していた」となっていただけで、豪邸とは書いていないと同紙は反論した。