攻撃の中心選手ネイマールが、フランスのPSGに移籍したことで、攻撃力が低下すると見られていたFCバルセロナFCだが、その穴を埋めたのは、同じブラジル人でも、ポジションの全くことなるパウリーニョだった。
昨シーズンまで猛威を振るった、ネイマール、リオネル・メッシ(アルゼンチン)、ルイス・スアレス(ウルグアイ)からなるFCバルセロナの南米3トップは「MSN」とも称され、サッカー史に残る攻撃陣とも謳われていたが、昨年8月にネイマールが移籍してしまった。
当初その穴は、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)から移籍してきた20歳のフランス人選手スデンベレが埋める予定だったが、昨年9月のリーグ戦開幕早々に怪我で戦線離脱。バルサはその穴をチームの生え抜きの若手23歳のデオロフェウで埋めようとしたが、期待にはこたえられずここまでわずか2得点に終わっている。
結局、ネイマールの左ウイングの座にはまだ後継者が見つかっていない状態となっているが、にもかかわらずFCバルセロナはスペインリーグのちょうど半分を消化した19節の段階で16勝3分と圧倒的な強さを誇っている。
誰がネイマールの穴を埋めたのか。その答えは、ボランチのパウリーニョだった。
パウリーニョといえば昨年8月、中国の広州恒大から巨額の移籍金でFCバルセロナへ移籍してきたばかりだが、当初は「中国リーグの所属で、30歳手前の選手にそんな額を?」と獲得を批判する人が目立ち、「バルサ乱心」とまで語る人もいた。
しかし蓋を開けてみれば、パウリーニョは常時出場しているだけでなく、ボランチという本来守備的なのポジションから考えれば異例とも言える、メッシ、スアレスにつぐ、チーム3位の得点源にさえなっている。これまでチーム3位の得点源といえばネイマールだったことを考えれば、彼が不在の穴を埋めているという言い方ができる。
サッカー・サイト「GOAL」は、「FCバルセロナは、パウリーニョ加入でネイマールの頃よりさらによくなった」と分析する。それはメッシ、スアレスの2トップにすることで、フォワードが一人減った分、守備が強化できるようになった上に、さらにパウリーニョの積極的な攻撃への参加で攻撃のマイナスも減っているからだ。
そのパウリーニョだが、バルサの中においては現状、フリーマンの立場になっているとGOALは分析している。バルセロナの中盤にはイニエスタ、ブスケツ、ラキティッチという名手がいるが、パウリーニョは奏した選手と上手くバランスをとり、巧みな位置取りで相手のマークをはずして得点を重ねている。
これまでのパウリーニョの得点で目立つのは、スアレスやメッシが決め損ねたシュートを押し込む、もしくは、コーナーキックやゴール前でのこぼれ球を決めるパターンが目立っている。
また、メッシとスアレストのコンビネーションもよく、特にカウンター攻撃時に、彼らと平行線で猛然と全力疾走して追いつくパウリーニョの姿もしばし見られている。
奇しくもこれらのプレーは、パウリーニョが現在のチッチ監督のもとで14年W杯以来のレギュラー復帰して以来、ブラジル代表の試合でしばし見受けられる光景だ。FCバルセロナがブラジル代表で復活したパウリーニョの活かし方を把握した、といえるかもしれない。
これからは、先日加入したばかりの、セレソンでのチーム・メイト、フィリペ・コウチーニョがバルセロナでの新しい仲間となる。その中でパウリーニョのチームでの役割がどう変化していくかも注目されるところだ。(16日付スポーツサイト、ゴールより)