【既報関連】世界保健機関(WHO)は16日、サンパウロ市を含むサンパウロ州全域を、黄熱病感染危険地帯に指定することを発表したと同日付現地サイトが報じた。
WHOは、サンパウロ州全域で黄熱病ウィルスの感染が見られることを考慮した上で危険地帯に指定したとし、外からサンパウロ州を訪れる場合は10日前までに黄熱病の予防接種を受けることを勧めている。
サンパウロ州では蚊に刺されないように注意し、黄熱病の症状をよく知った上で、感染が疑われる場合は早めに医療機関で診察を受けるようにとWHOは勧めている。
黄熱病の初期症状には発熱、頭痛、嘔吐などがあり、そのまま回復することもあるが、重症化すると腎障害、黄疸が出て死に至る事もある。
WHOとは異なり、サンパウロ州西部だけを感染危険地帯に指定していたブラジル保健省は、同日昼の時点で声明を発表していない。
サンパウロ州保健局が12日に発表したデータによると、昨年1月からこれまでに州内では21人の「森林型黄熱病」による死者が確認された。
森林型黄熱病は森林に住む猿を蚊が刺し、その蚊が人を刺すことで感染する。「都市型黄熱病」は、都市に住む感染者を蚊が刺し、その蚊が人を刺す事で感染する。黄熱病は蚊を介さずに、猿から人、人から人に直接に感染することはない。またブラジルでは、1942年を最後に都市型黄熱病は発生していない。
サンパウロ州政府によると、黄熱病による死者が確認されたのは、アメリコ・ブラジリエンセ、アンパーロ、アチバイア、バタタイス、イタチーバ、ジャリヌー、マイリポラン、モンテ・アレグレ・ド・スール、ナザレー・パウリスタ、サンタルシア、サンジョアン・デ・ボアヴィスタの各市だ。
サンパウロ市北部と接するマイリポラン市は感染者が多く記録された市の一つ。これまでに42件が確認され、3人が死んだ。亡くなった3人の内2人は都市部の住民だった。同市の保健局は既に住民の9割以上が予防接種を受けたとしている。
WHO発表前に、州内50を超える自治体での黄熱病予防接種開始日を、2月3日から1月29日に早めるとサンパウロ州政府は発表していた。
州政府は2月17日までに、サンパウロ市250万人を含む650万人へ黄熱病予防ワクチン接種を行うことを目標にしている。しかしこのワクチンは、通常の0・5mlではなく0・1mlで有効期限は8年だ。1月29日から予防接種が受けられる自治体は、ベルイベから北の海岸部と大サンパウロ都市圏、州北東部など。