ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ゴタゴタ続く新労相人事=2度目の就任式直前キャンセル=最高裁が未明に差し止め

《ブラジル》ゴタゴタ続く新労相人事=2度目の就任式直前キャンセル=最高裁が未明に差し止め

カルメン・ルシア最高裁長官(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

カルメン・ルシア最高裁長官(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 【既報関連】カルメン・ルシア最高裁(STF)長官は22日午前1時ごろ、クリスチアーネ・ブラジル下議(ブラジル労働党・PTB)の労相就任を一時的に差し止める判決を下したと、同日付現地各紙電子版・ニュースサイトが報じた。
 テメル大統領(民主運動・MDB)は、22日午前9時にクリスチアーネ氏の労相就任式を予定していたが、STFの決定により急遽延期となった。
 発端は、昨年末の前労相のロナウド・ノゲイラ氏(PTB)退任の後、テメル大統領が、PTB党首のロベルト・ジェフェルソン氏と会談し、ジェフェルソン氏の実の娘、クリスチアーネ・ブラジル下議を後任に決めたことに遡る。この決定の直後、クリスチアーネ氏が運転手との雇用契約において違法行為を行い、有罪判決を受けていた事が発覚した。
 「労働訴訟で有罪判決を受けた人物の労相就任」という非常識な流れに8日、リオ地裁が待ったをかけるも、PTBの機嫌を損ねるわけにはいかない連邦政府は控訴。9日にリオの第2連邦地域裁(TRF2)がリオ地裁の判断を支持し政府の訴えを却下。9日の午後に行われるはずだった就任式はキャンセルされており、就任式直前でのキャンセルは、22日で2度目だ。
 どうしてもクリスチアーネ氏を労相に据えたい政府は高等裁判所(STJ)に訴えると、20日にはSTJが、クリスチアーネ氏就任を認める仮判決を出した。
 それを受け、労働訴訟が専門の弁護士たちで構成された、労働訴訟弁護士独立運動(Mati)は、STFにクリスチアーネ氏の労相就任の再度差し止めを求めて訴えていた。カルメン・ルシアSTF長官の判決はこれに応えたものだ。
 カルメン長官は、判決文の中で、「この決定は緊急で出したため、見直しの余地がある」と認めつつも、「(クリスチアーネ氏の労相就任によって)ブラジルの憲法が定める、法の確実性が危機に晒されかねないとの判断から、原告によるクリスチアーネ氏労相就任を差し止めの要請を一部認める」と記した。
 カルメン長官はクリスチアーネ氏就任賛成派、反対派に対し、共に48時間以内にこの判決への声明を出すように求め、また連邦検察庁にも何らかの声明を出すように要請した。