ブラジル政府は23日、昨年17年の国立社会保険院(INSS)と、公務員社会保障制度(RPPS)をあわせた赤字額が、2687億9千万レアルを記録したと発表したと、同日付現地字サイトが報じた。
これは16年に記録した2268億8千万レアルの赤字を18・5%も上回り、過去最大となった。INSSだけで見ると、16年の1497億3千万レアル赤字から、17年の1824億5千万レアル赤字へと21・8%も増加した。17年のINSS赤字額は、政府の赤字予想1813億レアルと近似だ。
政府は今年18年のINSS赤字幅を、さらに増大した1928億4千万レアルと見積もっており、その補填も18年予算に組み込まれて議会承認も受けている。
テメル政権は社会保障制度赤字の拡大を食い止めるべく、制度改革を行おうとしてきた。しかし、採決間近までこぎつけていた昨年5月に、テメル大統領自身が絡む一大スキャンダル、JBSショックが起き、政権基盤が大きく揺らいだ事で、採決は今年の2月以降に先送りされている。
財務省のマルセロ・カエタノ社会保障局長は、「もし社会保障制度改革案が2月に下院を通り、3月には上院を通れば、18年のINSSは50~60億レアルも赤字幅が少なくなる。2060年には社会保障費の削減幅は総額5千億レアルにも上る」と成立に望みをかけている。