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2審有罪のルーラ被告=今年の大統領選に強行出馬表明=フィッシャ・リンパ法の隙間かいくぐり=今後次々に降りかかる訴訟

TRF4のジェブラン・ネット報告官(Sylvio Sirangelo/TRF4)

TRF4のジェブラン・ネット報告官(Sylvio Sirangelo/TRF4)

 サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を介した収賄と資金洗浄の第2審裁判が24日、南大河州ポルト・アレグレの第4地域裁(TRF4)で行なわれ、ルーラ元大統領は1審よりも重い、禁錮12年1カ月の判決を受けた。それにも関わらず、ルーラ氏ならびに労働者党(PT)は、同裁や上級裁判所に「判決不服」の申し立てをしてフィッシャ・リンパ法の隙間をかいくぐり、大統領選立候補強行を宣言した。だが今後、別の刑事裁判がが、続々とルーラ被告に降りかかりそうだ。26日付現地紙が報じている。

 ルーラ氏は判決後に行なったサンパウロ市のレプブリカ広場での抗議集会に参加し「所有していない物件で有罪にされた」と反論した。PT側も今回の裁判を「仕組まれたもの」としてルーラ氏を大統領選候補として正式宣言し、裁判結果に全面対決する姿勢を明確にした。
 連邦直轄区地裁は25日、ルーラ氏の国外渡航を禁止し、パスポート提出を命じた。ルーラ氏は26日からエチオピアに渡航予定だった。
 第2審では特にジェブラン・ネット、パウルセンの両判事から、連邦警察からあがった捜査結果や資料を長時間掛けて分析した結果が語られた。とりわけグアルジャーの物件のルーラ氏と故マリーザ夫人との間の所有と交渉の歴史についても分析された。
 ジェブラン・ネット判事は、かねてから「証拠がない」と主張するルーラ氏側に対し「このタイプの犯罪は受領書を残さない巧妙なもの。それが政界で受け継がれている」と語った。
 なお、1審で10年8カ月の判決を受けていたOAS元社長のレオ・ピニェイロ被告は、第2審で3年6カ月に、同じくOAS元理事のアジェノール・メデイロス氏が6年から1年10カ月に減刑された。
 さらにISTOE誌24日付けによれば、今回の件は刑罰がまだ軽いほうであり、今後、続々とより深刻な訴訟がルーラ被告を襲うことになりそうだ。例えばペトロブラス幹部のネストル・セルヴェロ被告が連警に司法取引しないよう、デウシジオ・アマラウ上議(当時)らを使って金を払って沈黙させようとした司法妨害の件だ。
 他にも、アンゴラの公共工事をオデブレヒト社が有利に入札するよう大統領の影響力を不当行使したのと同時に収賄、資金洗浄、犯罪組織形成の疑いの件。同様にアフリカの工事でルーラ氏が口利きをして社会経済開発銀行(BNDES)からの融資を引き出した疑惑の件、戦闘機入札で不当に影響力を行使したと疑われている件、自動車税暫定令延期の件などだ。
 これら訴訟が波状攻撃のようにルーラ氏を襲う中、同僚議員らがどんな距離を保ち、選挙民がどう判断するかなどにも注目が集まりそうだ。