和歌山県庁と世界の在外和歌山県人会が連携して、2019年2月から日系人子弟の県内企業への就職支援という珍しい取り組みを始める。県人会子弟のキャリアアップ、県内企業の優秀な人材確保などが目的。対象者は業務に関する科目を専攻した大卒者、就職までに大学卒業見込みの県人会子弟。他の県人会に所属していても、和歌山県人会の推薦があれば応募可能。他県にも参考になる取り組みとして、注目が集まりそうだ。
県庁が来年2月、在外和歌山県人会に企業情報を送り、3月に県人会の子弟推薦、出願、書類選考となる。その後面接や在留資格申請などが行われる予定だ。希望者は県人会の推薦状のほか、日語か英語の必要書類を企業に出願する。
ビジネスレベルの英語能力(TOEIC730点、TOEFL80点、IELTS6・0以上)、日常会話程度の日本語能力が必要。
雇用期間は在留期間上限の5年だが、更新により延長も可能。給与・勤務条件や福利厚生等は同職種の日本人社員と同等になる。
来日時の航空運賃は企業が負担し、在留資格は「技術・人文知識・国際業務」で申請される。
企業側が子弟の日本語学習の必要があると判断した場合、子弟は企業研修として外国語学校の日本語クラスを履修する。この場合、来日した子弟は企業研修として日本語の授業を履修する。
もしくは、子弟と企業が合意の上で「留学」の在留資格で来県することもある。子弟は日本語学校への通学が活動の中心となり、企業には非正規社員として週28時間以内で勤務する。履修期間が終わった後、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」に変更される。
同県庁国際課の鈴川典之副課長によると、昨年仁坂吉伸知事が伯、亜国を訪問した際に優秀な人材の存在、日系人の日本での就労への期待を感じ発案したそう。
現時点で関心を示している企業は数十社程度、製造業が多いそうだ。
ブラジル和歌山県人会の谷口ジョゼー会長は昨年10月に行われた「和歌山県人会ブラジル移住100周年記念式典」の際に和歌山県側から説明があったことを明かし、「この就職支援を通し、母県と各国の県人会の交流が活発になるのでは」と期待を寄せた。問い合わせは同県人会(11・3209・6771)まで。