ラヴァ・ジャット裁判ではルーラ氏無罪を支持するものの、左翼各政党は10月の大統領選では独自候補を立て、ルーラ氏の労働者党(PT)とは連立を組まない見通しであると、28日付現地紙が報じている。第2審有罪判決を受け、「左翼の雄」であるはずのPTとの微妙な距離感が現れ始めた格好だ。
ルーラ氏が第4連邦地域裁(TRF4)で収賄ならびに資金洗浄で禁錮12年1カ月の判決を受けた日の翌日25日、PT中央執行委員会はルーラ氏の大統領選出馬を改めて正式宣言すると同時に、他の左翼政党と一致団結して選挙で連立することを求める声明を出した。
窮地に追い込まれたルーラ氏の立場をテコにして、支持勢力の一致団結や世論喚起をしたいとの思惑が伺われる。
過去にルーラ、ジウマ政権で連立与党を組んできた左翼各政党だが、今回は微妙な距離を取り始めた模様だ。相変わらずルーラ氏無罪を支持するものの、大統領選挙での連立となると、どこも否定的だからだ。既に昨年から準備してきた独自候補擁立の方向性で進んでいるという。
PT政権と常に連帯を保ち続けたブラジル共産党(PC DO B)も、南大河州の女性州議マヌエラ・ダヴィラ氏(36歳)擁立で行く方針を固めている。
ジウマ政権のスポーツ相だった同党のオルランド・シウヴァ党首は「ルーラ氏が出馬できるよう影ながら願うが、我々の価値観を体現しているのはマヌエラだ」とPTとは一線を画す主張をしている。
左翼政党の中ではPTに次ぐ議員数を誇る民主労働党(PDT)も、シロ・ゴメス氏を擁立する構えだ。シロ氏はルーラ政権時に国家統合相の経験があり、同氏を敬愛していることでも知られていたため動向が注目された。だが、同党は3月8日の党大会でシロ氏出馬を発表する予定だ。
シロ氏は02、06年の大統領選で3位になった実績もある。ルーラ氏出馬失格の場合、浮動左派票の恩恵を最も受けるのではと見られている。
シロ氏の実弟で、ジウマ政権で教育相もつとめたシジ・ゴメス氏は「いつも主権を握りたがるのがPTの悪いところ。ルーラ氏がダメなら他の候補を立てれば良いでは」と否定的だ。
04年にPT反乱分子が結党したことで知られる社会主義自由党(PSOL)は、06年以来、大統領選には独自候補を立てている。今回も同じで、土地なし農民運動(MTST)のリーダー、ギリェルメ・ボウロス氏を擁立する予定。「ジウマ氏罷免やルーラ氏告発に断固反対だ。だが、我々にはPTとは異なる政策とイデオロギーがある」と主張し、こちらも3月上旬にはボウロス氏出馬を発表予定だ。