米国が昨年12月に法人税の大型減税を行い、隣国のアルゼンチンも段階的な法人税引き下げを決定した中、ブラジルの法人税率は34%と世界最高水準で、国外投資を呼び込むのに障害になりそうだと、28日付ブラジル各紙が報じた。
現在ブラジルの法人税率は、Brics諸国の中ではインドに次ぐ2位、ラテン・アメリカ諸国ではベネズエラと並んでトップ、G20諸国の中でも最も高い。
米国は昨年、法人税率を35%から21%へと下げた。アルゼンチンは昨年まで35%だった税率を今年から30%に下げ、2020年には25%まで引き下げる。
長引く財政赤字に苦しむブラジルは、財政健全化のため、支出を抑える方向には動いているものの、景気の熱を冷やしかねない増税だけは避けたい状況で、とても法人税減税までには手が回らない。
ブラジルとアルゼンチンの法人税率の差は、今後ブラジルにある企業のアルゼンチンへの移転に繋がる可能性が高く、そうなると投資も働き口もブラジルから失われてしまう。法人税が10%のパラグアイには既にブラジルからの企業の流出が進んでいる。
自動車会社や食肉加工業者などはブラジルからアルゼンチンに生産拠点を移し、メルコスール協定を利用して、アルゼンチンからブラジルにその生産物を輸入するようにさえなるだろうと、ブラジル紙は警告している。