南米神宮で宮司を務める逢坂和男さんは(70、石川県)は、日系社会の各種行事で神道式儀式をすることでお馴染み。来伯したのは40年ほど前で、静岡県の富士山本宮浅間大社で神職を務めていたとき、「ブラジルに行きなさい」という御告げを聞き、渡伯して神道を広める決意をしたという。
実際に渡伯してみると、一世が思いのほか神道に関心を持っていないことが分かった。初めのうちはほそぼそと依頼がある度に祈願やお払いをしていた。祭事に100人近くが集まるようになった今でも、訪れるのはほとんどが二世以降か非日系人だという。
気がかりなのは後継者探し。「宮司は色々な相談を受けるから、日伯両方の社会に詳しい人が望ましい」と話した。今でも空手の練習に精を出す逢坂さん。ピンと張った背筋を見る限り、代替わりは随分先のことのように思えた。(陸)