連邦第4地域裁(TRF4)で12年1カ月の実刑判決を受けたルーラ元大統領の弁護士からの人身保護令適用の嘆願を、連邦高等裁判所(STJ)は1月30日に却下した。連邦最高裁(STF)のカルメン・ルシア長官も「第2審で有罪なら刑執行か否か」の判断を見直す考えはないと考えていることから、ルーラ氏が2カ月後に逮捕される可能性が高まっている。1月31日付現地紙が報じている。
エスタード紙27日付は「TRF4の審理速度では3月に2審完了」と報じた。2審での不服申立などの全手続きが終了した時点で、ルーラ氏逮捕が執行される可能性が高い。同記事によれば、TRF4は猛烈な勢いでラヴァ・ジャット関連審理を進めており「2カ月以内に今件の全プロセスが終了する」と報じた。
世界的には3審制の国が多いが、ブラジルは例外的に4審まで可能。2審終了後もSTJ、STFと続く可能性がある。その間10年、20年と逮捕されず「実質的な不処罰」との不満が国民に高まり、最高裁判断で「2審で有罪なら逮捕」に変わっていた。
1月24日のTRF4での有罪確定後、ルーラ氏の弁護人は高等裁に、刑執行(逮捕・勾留)を予め防ぐ目的で人身保護令適用を求める申請を出していた。だが高等裁のウンベルト・マルチンス副長官は1月30日、逮捕阻止を目的とした人身保護令適用を認めない暫定判断を下した。
高等裁でのルーラ氏への人身保護令適用に関しては、同裁のフェリックス・フィッシャー判事が報告官となり、第5法廷(5人の判事)の投票によって正式に決められる。だが同氏はラヴァ・ジャット作戦担当判事で、容疑者に厳しいことで知られている。
ルーラ氏が刑執行を逃れる最後の望みは、最高裁だ。「2審で有罪なら刑執行」判断は、16年10月に最高裁が判事投票で出した判断に基づく。だが同投票結果が接戦であり、その後に判事が交代し、意見を変えた者もおり「判断自体が変わるのでは」と見られていた。
だが1月30日、最高裁のカルメン・ルシア長官は、この見直し審議をすぐには行なわない方針を表明した。最高裁が見解を変えることで、ルーラ氏逮捕阻止を手伝うことはしないということだ。
「2審での手続きが終了し次第、刑執行」は、どんどん現実味を帯びて来ている展開だ。
ところが1月30日に発表されたダッタフォーリャ社の大統領選の最新世論調査では、ルーラ氏が依然34%の支持率を獲得して圧倒的に1位であることも判明。2審での有罪判決が、ルーラ支持者には響いていないことが浮き彫りとなった。