俳誌『朝蔭』459号が1月に刊行された。年末の大掃除の逸話だろうか、《虫干や亡母の残り香不意に立ち》(寺澤哲子)はしめやかな敬意を感じさせる。《雑煮食ふ南米の街夏盛り》(遠藤永観)。NHKを見ながら雑煮を食べている分には雰囲気満点だが、家から一歩外に出ると…。《旅立つ娘見送る空港虎落笛(もがりぶえ)》(川上佐智子)の「虎落笛」は「冬の激しい風が竹垣や柵(さく)などに吹きつけて発する笛のような音」(出典:デジタル大辞泉、小学館)のこと。現代的には、場所が空港だと空気を切り裂いて飛び上がる飛行音も入りそう。娘は留学か、それともデカセギ訪日か。心配そうな親心が行間に漂う。クリスマスにキリスト教徒が贈りあうのがパネトーネと思っていたら、日本人流には《お歳暮に配って廻るパネトーネ》(野村康)とのこと。納得、納得。