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カルメン・ルシア最高裁長官=ルーラ元大統領と労働者党(PT)に不快感示す=「司法無きところに平和なし」

最高裁開廷式でのカルメン最高裁長官(左)とテメル大統領(右)(Marcos Corrêa/PR)

最高裁開廷式でのカルメン最高裁長官(左)とテメル大統領(右)(Marcos Corrêa/PR)

 「自由無きところに民衆主義はない。責任無きところに秩序はない。司法無きところに平和はない」――1日、年始の最高裁開廷式でカルメン・ルシア長官は、来賓のテメル大統領や上下両院議長を前にそう説いた。2審有罪判決を無視してルーラ元大統領が選挙出馬を強行する姿勢などを批判したと見られる。2日付現地紙などが報じている。

 ヴェージャ誌電子版1日付けNoblatブログは、「女二人が司法弁護、男三人は沈黙」の見出しのコラムを発表。
 いわく「来賓として言葉を求められ、テメルは沈黙を選んだ。この45日間に下された二つの(最高裁長官)判断で、彼は煮え湯を飲まされたからだろう。クリスマスの恩赦とクリスチアネ・ブラジル下議の労働相就任の差し止めだ。そんなルシア最高裁長官とラケル・ドッジ連邦検察庁長官は、司法を攻撃する者の名前すら出さずにきっちりと釘を刺した」。
 開廷式の挨拶でカルメン長官は、第4連邦地域裁(TRF4)が出したルーラ氏有罪判決に関して、「司法の決断を尊重しないことは、いかなる理由があれ許されるべきでなく、受け入れられるべきでもない」と厳しい口調で語った。昨年7月にルーラ氏1審を裁いたパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事の判決も尊重するよう訴えた。
 カルメン長官は「裁判は不利な結果になることもある。その時は法的な手段、控訴で抗議すべきだ」と主張した。
 一方、ルーラ氏やPTは第2審の前後から判決を尊重しない物言いを続けていた。労働者党(PT)党首のグレイシ・ホフマン上議は「ルーラ氏を逮捕するなら、死者さえも出ることになる」と事前に威嚇的な発言を行なっていた。
 判決後もルーラ氏は「持っていない住宅物件のせいで有罪となった」と演説し、PT関係者も「この裁判は仕組まれたもの」などと言いふらしていた。ルーラ氏が逮捕されても無視して大統領選出馬登録を行なうとPTは宣言していた。
 カルメン長官は先日、「実刑執行は2審の後か否か」についての最高裁判断の見直し審議を当面行わないことを公言し、ルーラ氏らの態度に不満を抱いていることを伺わせていた。
 この開廷式にはラケル・ドッジ連邦検察庁長官も参加したが、同長官も「司法システムは独立性を持って進歩し、より厳しくあるべきだ」とカルメン長官を支持する発言を行なった。
 テメル大統領はこの場では発言はしなかったが、2日付エスタード紙記事には、カルメン長官が先延ばししようとしている「2審有罪で刑執行」最高裁判断について、「うやむやにならぬよう、しっかり法的に決着をつけてほしい」と語っている。