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《ブラジル》景気動向への悲観論が減少=17年工業生産も2.5%アップ=「回復業種の偏りが問題」

1月のブラジル自動車販売台数は23%の上昇だった(参考画像・Comunicação Volkswagen do Brasil)

1月のブラジル自動車販売台数は23%の上昇だった(参考画像・Comunicação Volkswagen do Brasil)

 ダッタフォーリャ社調査によると、景気動向に対し悲観的な見方をする国民の割合が過去3年で最低値になったと、2日付現地各紙が報じた。
 調査は1月の29、30日に、174市に住む、2826人を対象に行われた。
 「今後数カ月で自分の購買力はどうなる?」の質問に、「下がっていく」と答えたのは37%で、「上がっていく」は22%、「変わらない」が38%、「分からない・無回答」が3%だった。
 自分の購買力、つまり経済的余裕が下がると思う人が、上がると思う人より15%も多く、まだ国民の間に景気に対する信頼感が大きくなっているとは言えない。だが、一昨年16年の12月は、「下がる」が59%で、「上がる」が15%と、両者の差が44%もあった事を思えば、悲観的ムードが薄れつつある事は確かだ。
 1日の地理統計院(IBGE)の発表でも、17年の工業生産高は前年比2・5%上昇だった。ブラジルは14年から3年連続で生産高の減少を記録しており、17年の増大は4年ぶりのことだ。月別では、17年に前年比割れを起こしたのは3月と8月だけで、残りの10カ月は全て前年比増だった。
 しかしながら17年の上昇も、14~16年に記録したマイナス分(-16・6%)を補うには不十分だ。「13年の水準に戻るためには、回復の勢いがもっと力強いものになる必要がある」とIBGE工業部門調査コーディネーター、アンドレ・マセド氏は語る。
 企業家の間に先の見通しを楽観視する空気が広がったことで、一昨年16年に前年比10・2%減だった資本財(工業生産ラインに配される機械など)は、17年は6%の増大だった。
 一方、失業の下げ止まり、インフレ、金利の低下が耐久消費財の生産高を16年の14・2%減から17年の13・3%増に押し上げた。
 輸出の拡大も、自動車部門、製鉄、紙パルプ、鉱業、食品などの部門の生産拡大に影響した。
 「回復の流れが全ての部門にいきわたっておらず、自動車、鉱物採掘関係、家電などに偏っていることが問題だ」と産業開発研究院(Iedi)の主席エコノミスト、ラファエル・カニン氏は語った。