県費留学制度の復活を足がかりに、県人会活性化を――。ブラジル静岡県人会(原永門会長)は、静岡県地域外交局地域外交課のモライス・アレシャンドレ地域外交専門官を迎え、「県費留学新制度説明会」を先月15日、同会会館で催した。元研修生、研修候補生ら約30人が出席し、朗報に沸いた。
静岡県は県費留学制度を長年実施していたが、およそ10年前に廃止。現在は数年に1人、1カ月間の県費研修生受入のみ。だが、昨年8月の創立60周年式典で、原会長が川勝平太県知事に制度再開を直訴。ペルー静岡県人会からも同様の要請が重なり、県では早急に検討が進められた。
モライス地域外交専門家によれば、新制度案ではブラジル、ペルー、アルゼンチンから毎年1人、20~40歳の県系人子弟を受け入れる。研修期間は10カ月、日語学校に通学しながら県内大学や企業で研修する。
同制度を通して県人会活動を支える若手を育成する。帰国後には県理解促進の役割を担うことや、将来の研修生募集に協力することが要件とされる。研修候補者及び元研修に対してアンケート調査も実施された。
原会長は「昨夏に要請したばかりなのに、もう返事をくれた。迅速な対応に感謝」と語り、制度再開を通じて県人会の活性化を図りたい意向だ。
同会館はサンジョアキン駅近くの好立地で、建物が立派なのでカラオケ大会などの催しでよく利用される。だが県人会自体の活動はあまりない。
昨年1月に発足した原新体制のもと、県人会から疎遠になっていた元研修生らを巻込み、昨夏の式典では過去最高の250人を越える関係者が出席。立地を活かした会館活用、ホールや会議室の改修に取組んできた。
原会長は「このままでは県人会はあと10年ともたないという危機感があった。とにかく若者が大事」と語る。「県庁から方向付けをしてもらい、母県の豊かな文化を紹介する活動を行いたい」と今後の方向性を描き、県庁とリンクする県人会ホームページ作成にも乗り出した。
そんな県人会の変化を受けて、若者も集りつつある。元留学生の村田エリカさんは「97年に留学した。戻ってきた直後は会に顔を出していたが、すぐに疎遠になった。今は若者の意見が取入れられる会に変化しつつある」と感じている。
川崎エレナ副会長は「とにかく『若い人を連れてきて』と元研修生に根気強く呼びかけ、予測外に若者が集った」と胸をなでおろす。「青年部はないが静岡の若者を他の青年部に入れて、ノウハウを学んでもらうことも考えている。ゆくゆくは青年部も立上げられれば」と期待を滲ませた。
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会長が替わると会も変わる。静岡県人会の今後が楽しみだ。同会に限らず、県費留学生/研修生には、母県の観光地を積極的に回ってきてもらい、たくさんの写真を撮ってポ語紹介文を書いて欲しい。個人のブログがあればそこに載せてもいいし、県人会のサイトがあれば、ぜひそこにも掲載して欲しい。静岡県なら富士登山体験はもちろん、富士サファリパーク、富士急ハイランド、三津シーパラダイス、MOA美術館、沼津深海水族館、久能山東照宮、日本平動物園など書ききれないほど観光地がある。それらをポ語で紹介してほしい。各県の留学生/研修生が毎年あちこち訪れて、ポ語の紹介文を県人会サイトに蓄積していけば、立派な観光案内サイトの役割を果たす。「入場料はいくら」「何が美味しかった」「どこがキレイだった」などの生の情報を、県人会サイトに掲載していって欲しいもの。