ブラジル中銀は6、7日にかけて開かれた通貨政策委員会(Copom)において、経済基本金利(Selic)を0・25%ポイント(%P)引き下げ、年利6・75%にする事を全会一致で決定したと、7、8日付現地紙・サイトが発表した。
Selicの引き下げは、16年10月以降、11回連続だ。年利6・75%は、Selicが通貨政策上の指標となった1999年以来、最低金利だ。これまでの最低金利は昨年12月に定められた年利7%だった。それを直後のCopomで更新したことになる。
テメル大統領も早速、「中銀が利下げを行える条件を整えるため、政府はすべき事をしてきた。投資や雇用の促進のために利下げは大いに助けになる」とツイッターに書き込んだ。
16年10月から始まったSelic引き下げは、一時、4回連続で1%Pダウンとするなど、引き下げペースが高まったが、今回を含む直前3回は、0・75%P、0・5%P、0・25%と、下げ幅が縮小している。
昨年12月の利下げ時には、「社会保障制度改革が17年中に行えないならば、次回年明けの引き下げはないだろう」との声が大半だったが、蓋を開けてみれば、社会保障制度改革は遅れているにもかかわらず、利下げが行われた。
Copom直前には米国株が大きく下がり、それにつられてブラジルを含む世界の株式市場でも大幅下落を記録したが、ブラジルの利下げ傾向に変化はなかった。
Copomは、これで一昨年10月からの利下げの流れは終了するだろうとも示唆した。
Selic引き下げの終了は、主に二つの理由が考えられる。
一つ目はインフレ率だ。昨年のインフレ率は2・95%という低水準だったが、現状の景気回復傾向が続くと、今年と来年のインフレ率は4・2%になるだろうと、中銀は予想している。
もう一つは、昨年より議会で難航している社会保障制度改革の行方だ。イラン・ゴールドファジン中銀総裁は常に、「利下げのためには国の社会保障費の収支が、現在のような大幅な赤字ではなく、健全になる事が重要」との立場をとってきた。
景気回復の流れを止めたくないという思惑(利下げ要因)と、インフレ警戒感(利上げ要因)が拮抗しており、今年はSelicが6・75%に据え置かれる可能性が高い。
次回のCopomが予定されている3月20、21日までに、社会保障制度改革が進展する事があれば、さらに0・25%Pの利下げもあり得る。