9、10日はサンパウロ市で、11、12日はリオ市でスペシャル(SP)グループによるカーニバルのパレードが行われた。サンパウロ市は稀に見る接戦、リオでは前代未聞の政治的パフォーマンスの連続で物議を醸した。10~14日付現地紙が報じている。
サンパウロ市カーニバルは、四つのエスコーラ、アカデミコス・ド・タトゥアペー、モシダーデ・アレグレ、マンシャ・ヴェルデ、トム・マイオールが270点満点で並ぶ快挙となり、5位のドラゴンエス・ダ・レアルも0・1ポイント落としただけの269・9点だった。
270点のエスコーラはいずれも0・1ポイントの失点はあったものの、他の審査員が満点だったために切り捨てられての満点だった。この場合の採点基準は、「どの部門でポイントを落としていたか」の優劣になるが、それが一番軽かったのがタトゥアペで、2年連続優勝となった。
同エスコーラは北東部マラニョン州の文化をテーマにしたパレードを行い、締りのある動きと豪華な衣装を評価された。
比較的穏やかに行われたサンパウロ市とは全く対照的に、リオ市はこれまでになく、政治や社会情勢を強く批判するテーマでパレードしたエスコーラが話題を独占した。
初日はパライゾ・ド・ツイウチと名門マンゲイラの政治批判が話題を呼んだ。ツイウチは、かねてから噂されていた、愛国的な鍋叩きデモの国民が政治家の操り人形だったという演出を行ったのみならず、悪魔と化したテメル大統領や社会保障制度改革批判を思わせるボロボロの労働手帳まで登場させ、痛烈な連邦政府批判を行った。
マンゲイラの標的となったのは同市のマルセロ・クリヴェラ市長で、「カーニバルの裏切り者」などと書かれた山車の上に、切り取られた顔写真を貼られる有様だった。同市長と、ぺゾン・リオ州知事はこの日、サプカイのサンボードロモに姿を現さなかった。
また、2日目の強豪・ベイジャ・フロールのパレードはよりショッキングなものだった。ある一幕では、銃を持った人が路上でおびえている人を威嚇するという、ファヴェーラで行われている現実を見せ、別のシーンでは、札束にまみれた政治家に扮した男性が、皮肉な笑顔と共に侮蔑的な仕草を行った。
これらの、抗議活動的なテーマがテレビや新聞のニュースを独占してしまった観が否めないが、パレードそのものの審査対象とはまた別物でもある。リオ市のSPグループの採点は14日午後3時半から行われ、ベイジャ・フロールが3年ぶり、14度目の優勝。2位にツイウチが入った。