ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ベネズエラ人流入問題=大統領令で非常事態宣言=登録や人道支援は軍が統括=ロライマ州は衛生対策も要請

《ブラジル》ベネズエラ人流入問題=大統領令で非常事態宣言=登録や人道支援は軍が統括=ロライマ州は衛生対策も要請

国防相らも交えた会議でのテメル大統領(14日、Marcos Corrêa/PR)

国防相らも交えた会議でのテメル大統領(14日、Marcos Corrêa/PR)

 【既報関連】ロライマ州や州都のボア・ヴィスタ市がベネズエラ人急増で悲鳴を上げている事もあり、連邦政府は8日、国防相らを派遣して現地視察させた上、テメル大統領も12日に同州を訪問。これを受け、15日か16日には、ロライマ州へのベネズエラ人流入急増に伴う、「大量の移民流入による社会的な非常事態」を宣言し、軍を軸とする特別対策班設置などを盛り込んだ大統領令が出されると15日付現地紙が報じた。
 ロライマ州へのベネズエラ人流入は以前から起きていたが、16年は3356件だった難民申請が17年は1万7865件に増えた事でも判るように、その増加は著しい。ベネズエラ人流入は日に700~800人とされるが、コロンビアが8日にベネズエラ人の流入制限を決めた事で、ブラジルへの流入が更に加速する可能性もあり、同件への対応は大統領府や複数の省庁をまたぐ国レベルの問題となっている。
 国境警備などに当たる兵士を200人に倍増する事や、流入するベ国人の登録や必要としている支援内容などを調査する監視設備の倍増などは12日の時点で示唆されていたが、今回の大統領令は、それをより具体的に定めたものとなる。
 ベネズエラ人流入問題は、同国内の深刻な政治的、経済的、社会的な危機を反映したもので、子供を養う事が出来なくなった親が、子供を養子に出したり、孤児院に預けたりする例が後を絶たない。また、食料不足のため、同国人は平均8~9キロ体重が減ったともいう。かつては薬や食料を買うためだけに国境を越えていた人達も他国に移住し始めたのが現状で、国連は100万人のベネズエラ人が母国を離れ、11万人が難民申請中と発表した。
 また、13日には、ボア・ヴィスタの広場で寝泊りしていた家族の内、1歳児がはしかに感染していた事が判明し、子供と母親を病院に隔離。翌14日には、同州政府が連邦政府に国境の町パカライマに衛生上の防護壁を設ける事を要請すると同時に、州民への予防接種強化や前倒しを指示するという、新たな問題も生じた。
 テメル大統領は14日も複数の閣僚らと頻繁に会合を重ね、仮設病院を設置して診察や手術も行う事や、ベネズエラ人の登録や人道支援の指揮は軍が統括する事などを決めた。また、3月には公共保安省を新設する意向だという。
 ラウル・ジュングマン国防相は、14日の大統領との会合後、「国境を取り巻く問題は人道的な問題で、ブラジルは兄弟達に扉を閉ざす事は出来ない」が「ロライマはあらゆる面でこれ以上の対応が不能な状態に追い込まれている」との認識も明らかにした。