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ブラジル連邦政府=リオ州の直接統治を宣言=保安関連の指揮権は陸軍に=「犯罪集団と断固戦い勝利する」とテメル大統領=社会保障改革の進展に影響も

マイア議長(左)、ペゾン州知事(右)立会いの元、IF大統領令に署名するテメル大統領(中央)(Beto Barata/Presidência da República)

マイア議長(左)、ペゾン州知事(右)立会いの元、IF大統領令に署名するテメル大統領(中央)(Beto Barata/Presidência da República)

 【既報関連】ファヴェーラ(スラム街)での銃撃戦や、強盗、流れ弾に当たって罪もない市民が犠牲になるなど、一向に改善の兆しを見せないリオの治安状況に、連邦政府は「リオ州保安部門の直接統治」(intervenção federal、中央政府または大統領による州政干渉)を宣言した。16日午後1時半に大統領宮で、テメル大統領は「リオ州保安部門の直接統治」を宣言する大統領令に署名した。ブラジル憲法は州政府の自治を保障しているが、特例としての直接統治を認めており、今後は上下両院での承認手続きに入る。

 テメル大統領(民主運動・MDB)は署名後の会見で、「特別にリオ州保安部門の直接統治という措置をとることになった。政府は犯罪組織に対し、断固たる決意で臨み、必ず勝利する。犯罪組織により、罪のない人々、真面目な労働者、警察官、若者、子供が命を落とすことが続くのは許されない」と語った。
 15日夜から16日未明にかけて大統領宮で行われた、テメル大統領とフェルナンド・ペゾン・リオ州知事、ラウル・ジュングマン国防相らの関係閣僚出席の会談で、リオ州保安部門の直接統治発令が決定した。
 ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)とエウニシオ・オリヴェイラ上院議長(MDB)も、会談開始から2時間半後に呼ばれ、大統領からリオ州保安部門の直接統治の議会承認への協力を要請された。エウニシオ上院議長が提唱していた公共保安省新設も、この会議で本決まりとなった。
 リオ州保安部門の直接統治により、リオ州では軍警、市警、消防隊、ならびに刑務所管理局の指揮権も陸軍に移る。直接統治は、ペゾン知事の任期末の本年12月31日まで有効で、リオ州に平和を取り戻すという目的が達成されたら終了する。
 実際の職務を統括するのは、ブラジル陸軍、東方軍司令官のワルテル・ブラガ将軍だ。同将軍は16年リオ五輪時の治安維持責任者の一人で、軍諜報部にも顔が効く人選だ。ペゾン知事は16日早朝に空軍機でリオに戻り、ロベルト・サー州保安局長に解任を告げた。これはワルテル将軍が同州の保安当局の長としての職責を遂行するための措置だ。
 直接統治はリオ州の保安部門に限られるため、交通、医療、教育など、他部門の責任、指揮権はペゾン知事に留まる。
 直接統治には上下両院の承認が必要で、上院と下院が個別に採決を行う。承認のためには、議員の半数以上が出席した議会での投票と、出席議員の過半数の賛成が必要だ。マイア下院議長は、下院採決は19日か20日、上院は20日か21日(下院採決から24時間以内)になるだろうとの見方を示した。
 直接統治の発令中は憲法改正ができない。そのため、憲法改正案(PEC)である社会保障制度改革案の審議の行方にも影響が及ぶ。
 政府の方針では、直接統治が効力発揮となった後に、上下両院で社会保障制度改革案採決の目処が立った時点で、個々に直接統治の一時停止措置をとり、その間に採決を行う意向だ。