【既報関連】16日にリオ州治安部門に連邦政府の介入(IF)が宣言され、議会では承認手続きが始まっている。
IF発令中は憲法改正が出来ず、憲法改正案(PEC)である社会保障制度改革は行えないため、昨年から政府が、「カーニバル開けには行う」としてきた、社会保障制度改革の下院採決は棚上げとなった。
テメル大統領は、「社会保障制度改革採決の目処が立ったら、IFを一時的に停止し、その間に採決を行う」とIF発令の大統領令に署名した直後の演説で述べたが、野党や法曹界からは反対の声が上がっていると、16~18日付現地各紙・サイトが報じている。
IF宣言から一夜明けた各紙には、「社会保障制度改革は事実上の墓場行き」とか、「政府は社会保障制度改革を埋葬」などの言葉が踊った。
採決を引き延ばして議員たちの説得工作を行っても、下院での承認に必要な308票の賛成取りまとめは困難で、「国民の命を護るIFを優先させたため、社会保障制度改革はできなかった」とすれば、このままできずに終わるか、採決で否決されるよりも政治的ダメージは小さくすむ。
ただし、大統領府は、公式な立場としては、社会保障制度改革を諦めていない。
来週26日に予定されていた、各州知事を集めて社会保障制度改革への支持を訴える会合はキャンセルされていないが、リオ州のフェルナンド・ペゾン知事の「社会保障制度改革を強く支持する」との言葉も、今やむなしく響く。
「社会保障制度改革を採決するタイミングでIFを一時停止にする」との窮余の策も、法曹界からは早速、違憲ではないかと指摘する声が上がっている。
カルロス・ヴェローゾ元最高裁長官は、「政治の都合だけでIFを一時停止する事は出来ない」と語り、野党の持続ネットワーク(Rede)のランドルフィ・ロドリゲス上議も、IF一時停止となれば、最高裁に一時停止措置の無効を求めて訴える意向だ。
ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)も、「下院と上院でIFを承認した後に、社会保障制度改革への賛成票を固めた上で、IFを一時停止して社会保障制度改革の採決という一連の作業を、2月中に行うのは困難」と認めている。「2月を越せば、選挙がさらに近くなり、社会保障制度改革は極めて難しくなる」とは、政府内の経済政策班からの声だ。
なお、19日はIFの承認手続きが始まり、社会保障制度改革採決の可能性はなくなったが、政府は昨年末に2月19日を社会保障制度改革採決日と定めていたため、同日は、ブラジル全土19州でそれにあわせて計画されていた反対デモが発生した。
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