ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》リオ州治安部門の直接統治令=上院も賛成多数で承認=行動計画の早期発表を求める上議も=軍への警察権付与を巡り賛否=道路監視で薬物流通を絶つ

《ブラジル》リオ州治安部門の直接統治令=上院も賛成多数で承認=行動計画の早期発表を求める上議も=軍への警察権付与を巡り賛否=道路監視で薬物流通を絶つ

IF承認投票の結果を示す、上院本会議場のパネル(Alessandro Dantas)

IF承認投票の結果を示す、上院本会議場のパネル(Alessandro Dantas)

【既報関連】リオ州治安部門の直接統治令(インテルヴェンソン・フェデラル、IF)の是非を審議する上院本会議が20日夜に行われ、賛成55、反対13(棄権1)で承認されたと、21日付現地各紙が報じた。

 IFは16日の宣言時から有効だが、議会承認が必要だった。期限は今年12月31日までとなる。今後、リオ州政の治安部門(軍警、市警、消防、刑務所管理部門)は、ブラジル陸軍東方司令官のワルテル・ブラガ大将の指揮下に置かれる。
 上院報告官のエドゥアルド・ロペス上議(ブラジル共和党・PRB、リオ州選出)は、「大統領府は一刻も早くIFの行動計画と予算を示すべき」と本会議で訴えたが、連邦政府による予算提示はまだだ。具体的な行動計画は、近日中にワルテル大将が発表する見込みだ。
 軍の要請も受け、IF発令中は、逐一、作戦対象者、対象地域などを司法当局に明確にして令状などを取らなくても、軍が逮捕や家宅捜索できる権利(マンダード・コレチーボ、MC)を認めることを政府は望んでいた。だが、リオ州地裁は20日に、「個別に司法が判断する。軍に無制限の捜査権は付与されない」と回答した。
 トルクアット・ジャルジン法相は、「犯罪集団が主な拠点とするスラム街などは、明確な住所がないケースもあるため、令状要請などは、地域名で出される可能性がある。だが、軍は住民の基本的人権は必ず守る」とした。
 同法相は、スラム街の犯罪集団への捜査令状については、対象を通称で呼んだり、対象地区が完全には特定できていなかったりしても「やむなし」との見解を示した。「犯罪集団はスラム街に住む貧しい人々を脅し、その人々の住居に薬物や武器を隠している。これを終わらせなければならない」とした。
 20日には、連邦検察庁が、IFを宣言した16日付の大統領令に不明瞭な点があるとして、その部分の詳細説明を求めると共に、不備の訂正も求める声明を出した。検察庁は、これらが解決されないと、IFは憲法に反し、多くの国民の人権を損害する結果を引き起こしうるとしている。
 IFに関する詳細な計画発表までの軍は当面、昨年8月に出た治安保障法(GLO)に基づいた行動を取る。19、20日のスラム街での手入れはGLOで立てられた計画に追従するものだ。
 他方、IF向けに既に決められている方針は、国道101号線、116号線、40号線のリオ州と隣接州との境を第1のライン、リオ市とその周辺都市圏を囲むように走る493号線を第2ライン、リオ市北部のシャパドンやケルソンズなど、犯罪集団が支配するエリアとその外との境を第3ラインとして、薬物や武器の流通をせき止めるというものだ。
 また、海軍はリオ市のグァナバラ湾と港、空軍は国際空港のトム・ジョビン空港を監視する。