隣国ベネズエラが政治や経済、国民生活の全てで危機に陥っている事は、ロライマ州に流入する難民急増記事などでも多少伝えている。だが、先週と今週は、これまで以上に胸の痛む報道に接した▼その一つは、食料さえ確保できず、子供の養育をあきらめた国民が、孤児院に預けた子供の様子を見に行くという記事だ。ブラジル国内紙には、引き取り手が現れる前の子供達の様子を見に来る親の姿やその心情が書かれていた。日本でも戦中、戦後に餓死者が出た事があるが、ベネズエラでの食料不足がどれ程深刻かは、国民の平均体重が8~9キロ減ったという報道などからも窺われる▼もう一つは、腎臓の移植手術を受けた患者が、拒絶反応を抑える薬が入手できず、せっかく得た命や自由を失っているという記事だ。ある非政府団体によれば、薬が手に入らないために、自分の体が移植された臓器を拒絶し始めた人は1月だけで少なくとも31人おり、亡くなった人もここ3カ月間で7人いるという▼おまけに、反体制派リーダーらが政治犯として投獄されたり有罪判決を受けたりして、大統領選に出馬できないため、野党が大統領選をボイコットせざるを得ない状況に追い込まれた。体制派はそれを良い事に、大統領選だけでなく、2020年にやるはずだった国会議員選まで4月に前倒ししようとしている▼食料や薬の不足、ハイパーインフレ、撲滅したとされていたマラリヤその他の病気流行などで、国民は生活基盤さえ揺らいでいるが、自らの失政は認めず、政権に留まり続けるマドゥーロ大統領。国民は皆やせ細っても、大統領やその側近らの外見は変わっていないと揶揄したくなるのは天邪鬼か?(み)