サンパウロ市商用・住宅不動産売買・賃貸・管理業者組合(Secovi)が20日に発表したデータによると、2017年のサンパウロ市では2万3629軒の新築住宅が売れた。これは2016年と比較すると46・1%の伸びで、5~10%の成長と予測していた業界関係者には驚きを持って受け止められていると、21、22日付現地紙が報じた。
フラビオ・アマリSecovi会長は、「昨年の結果は驚くべきもの。ミクロ経済レベルでの回復が起こった。消費者の間に、景気に対する信頼感が高まり、消費意欲も高まっている事を意識して、今後の販売計画を立てていく」と語った。
新規販売物件の数も、17年は2万8657軒と、16年と比較して48%増えた。2016年は新規販売物件数も、新築物件の販売数も、2004年の統計開始以来最低だった。
アマリ会長は、政府の住宅政策ミーニャ・カーザ・ミーニャ・ヴィーダ(MCMV)も新規販売の軒数に影響していると語る。16年のMCMV関連の新規販売は4154軒で、全体の23%を占めていたが、17年は1万343軒で、36%に増えた。Secoviは、18年は「新規販売は横ばいだが、販売数は5~10%増」と予想している。
Secovi主席エコノミストのセルソ・ペトルッチ氏は、「今年は大統領選とサッカーW杯、下半期には連休も多く、市場の阻害要因がある」とした。
また、2017年の新築住宅の売れ残り在庫は2万2040軒で、2年前のピーク時の2万8118軒から大きく減少した。ペトルッチ氏は、「現在の売れ残り在庫の多くは完成前の物件のため、あまり心配しなくても良い」としている。
住宅は完成すると固定資産税(IPTU)や維持費がかかり、売れるまでは住宅会社の負担となる。昨年は在庫全体における完成物件の割合は14%だったが、今年は9%だった。
アマリ会長は、「住宅価格は緩やかな景気回復ペースにそって動いている。需要が増えたからと言って、高騰しているわけではない。数カ月前、数年前の価格から変わっていない地域さえある」と語った。
なお、連邦政府が19日に発表した15の優先経済政策の中に、「設計段階での不動産購入契約に関する法律」(ジストラット)が含まれていたことは業界内部に驚きをもたらした。この法律は3年前に制定への動きが始まったが、もう数カ月も議会での審議が止まっていたからだ。主要企業にさえも知らされていなかった同件に関し、今住宅業界は、政府からの説明を待っている。