3月7日から4月6日までの30日間、連邦議会などでは、議員資格を保持した形の政党替えが公式に認められる。この期間終了後の下院の議席数により、10月の統一選挙に向けた公的選挙資金の割当や選挙放送の持ち時間が決まるため、政党にとってはきわめて重要だ。26日付現地紙が報じている。
今年の政党替えは例年以上に大きな意味を持っている。それは、今回の選挙から企業献金が禁止され、国からの公的な選挙資金の割当のみでの選挙運営となるためだ。
国からは政党に対し、合計17億レアルの資金が回される。また、候補者に対しても合計8億8800万レアルの資金が回されるが、これらの資金の割当やテレビやラジオの選挙放送の時間は、下院議員の数に比例して決められる。
この移籍期間を前にして、既に勢いのある政党がある。新政党のポデモスは、14年選挙時の当選者は4人だったのに、現時点では16人。さらに民主党(DEM)も、14年の当選者は21人だったのに、同様に12人が移籍加入し、現在では33人の議員を持つ勢力となっている。
また、テメル連立政権の中道政党、進歩党(PP)が7人、社会民主党(PSD)が5人、共和党(PR)が3人、議員数を増やしている。議員数も現時点で、PPが45人、PSDが40人、PRが37人と勢いづいている。これらの政党は現在も議員たちに対して積極的な移籍の呼びかけを行っているという。
逆に、「三大政党」と呼ばれる政党が議員数をだいぶ減らしている。テメル大統領の民主運動(MDB)が65人から59人に減った他、14年選挙時には最多当選を誇った労働者党(PT)は69人から57人に12人減も減少。さらに民主社会党(PSDB)も54人から46人と8人減っており、PPに抜かれて議員数4位に落ちかねない位置にいる。
これらの大型政党にとってより不利なのは、知事選の存在だ。大型政党だと知事選の出馬者も当然多く、その場合、4月6日までに議員を休職しなければならない。その際、議員割当は補欠で繰り上がる議員との分担扱いとなってしまい、割当金が減るためだ。
この1カ月の移籍期間の制度は2016年に導入されたため、統一選での適用は初めてとなる。従来は、選挙に近い時期の政党替えは「所属政党への裏切り行為」とみなされ、新党設立時に伴う移籍など、正当な理由がない場合は議席を失うのが前提とされていた。それは2008年に最高裁も規定していた。
だが、「特定の移籍期間をもうけ、その間に政党替えをするなら資金割当も選挙放送も影響を受けない」とする法案が2015年に議会を通過。16年2月には正式に憲法改正も行われた。