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リオ州=50分に1回積荷強盗発生=スラム街近くの道路が標的=州経済への悪影響は甚大

リオ州では積荷強盗の被害が一向に減らない(参考画像・Vladimir Platonow/Agencia Brasil)

リオ州では積荷強盗の被害が一向に減らない(参考画像・Vladimir Platonow/Agencia Brasil)

 【既報関連】2017年、とある夜の10時ごろ、トラック運転手のペドロさん(仮名)が、自動車の部品を載せ、リオ州とサンパウロ州を結ぶヅットラ街道を走っていると、4台のバイクが接近し、ライフルを突きつけて、命令に逆らうと撃つと脅迫してきた。
 ペドロさんは賊の命令通りに運転。スラム街の空き地に誘導された。小屋に押し込められている間に、積荷は奪われた。「体は無事だったけど、頭(精神)はズタズタにされた」という。トラック運転手として働き30年、初めての積荷強盗だった。
 リオ州の治安は改善せず、積荷強盗も減らない現状を、6日付現地紙が報じた。
 17年のリオ州では1万599件の積荷強盗が発生した。50分に1回の頻度で、その52%が州の全138警察区中、11区に集中している。
 被害が特に多いのは、ヅットラ街道やブラジル大通り(リオ市北部のパヴーナ地区とその周辺)や、ドゥケ・デ・カシアス市からリオ市に入るワシントン・ルイス街道だ。リオ市に出入りする車のほとんどはこれら三つの幹線道路を通らねばならず、運送会社の本社もこの付近に集中している。
 これらの道路の周辺には、警察も容易に立ち入れないほど治安が悪化したスラム街があり、まさに「積荷強盗が起きるための条件は揃っている」状態だ。
 近年のリオ州の財政危機に伴い、警察への予算が削減された時期と、積荷強盗の増加の時期は一致する。州内で最も治安の悪いパヴーナ区管轄の第41署は現在、所定の半数のパトカーしか配備されておらず、その大半が故障している。
 昨年5月に国家治安部隊(FN)が配備されると、積荷強盗発生件数は少し減ったが、すぐ増加に転じた。ある軍警は匿名で「FNは所定の場所に留まり、勤務時間も一定だ。犯罪集団はすぐにそれを察知し、裏を突いてくる」と語った。
 犯罪増加はリオの経済にも深刻な影響を及ぼしている。リオ州工業連盟(Firjan)によると、17年の積荷強盗による経済的な損失は6億710万レアルに上る。
 昨年3月より、リオ市へ送るまたはリオ市から送る積荷に、運送会社は追加料金を課している。トラックに位置情報確認機能や武装の護衛をつけたり、荷物を小分けにして多くのトラックで運んだりする経費は、全て消費者価格に跳ね返ってくるのが現状だ。セルジオ・ドゥアルテFirjan副会長は「『ブラジルでは他の国では考えられないほど税金が高いなど、いわゆるブラジル・コストがある』とよく言われるが、リオでは、他の州では考えられないようなコスト、リオ・コストも存在する。大いに困りものだ」と語った。