ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル年金》改革で受給金額減恐れ=早期受け取り者増加

《ブラジル年金》改革で受給金額減恐れ=早期受け取り者増加

 【既報関連】昨年2017年は、16年に比べて、積立年数が条件を満たしたという理由で年金を受け取り始めた人の平均年齢が下がったと、6日付現地紙が報じた。
 現地紙によると、昨年年金生活に入った人の平均年齢は、女性が53歳3カ月から52歳9・6カ月へ、男性が55歳9・8カ月から55歳6・8カ月へと、数カ月ずつ若くなった。年金受給開始年齢の平均が若くなるのは、男性では9年ぶり、女性では12年ぶりだ。
 「社会保障制度改革が成立すると不利になるのでは」との恐れが国民の間に広まり、年金受給開始の平均年齢も低下したと、連邦上院議会相談役の経済学者ペドロ・ネリー氏は分析している。
 ブラジル人の平均寿命は延びているため、早めに年金を受け取り始める国民が増えると公庫の負担は大きくなる。地理統計院によると、53歳の女性の平均余命は30年で、55歳の男性の平均余命は24年だ。国立社会保険院(INSS)の赤字は、17年度だけで1824億レアルに上る。
 マルセロ・カエターノ社会保障局長は、「ブラジルでも年金受給最低年齢の設定が必要だ」と、現政権では望みの薄い、社会保障制度改革への未練を見せた。
 社会保障制度改革案では、受給最低年齢を、女性53歳、男性55歳から、20年かけて段階的に女性62歳、男性65歳まで引き上げる見込みだった。現行制度では、年金受給最低年齢は定められていないため、男性は35年間、女性は30年間積み立てていれば、年金受給を申請できる。