ブラジル憲法には「政府は職員の給与や光熱費などの通常経費を支払う目的での国債を発行することは出来ない」という、絶対的な規則があり、連邦政府がそれを遵守するには、現状で800~1千億レアルの資金が足りない状態であると、7日付現地紙が報じた。
インフラ設備や教育、医療などへの投資のために負債を作ることは出来るが、通常経費支払いのための負債を抱えることは出来ないと定められた絶対的規則を破ると、大統領が財政責任法に問われる可能性がある。
通常経費は予算の約90%を占め、削ることが出来ない。今年の場合、通常経費は歳入額を2086億レアル超過する見込みだ。絶対的規則を遵守し、負債額を増やさないためには、この金額を何とかして埋め合わせねばならない。
社会経済開発銀行(BNDES)の企画部長カルロス・ダ・コスタ氏は今年1月に、BNDESは年内に国庫に1300億レアルを返金する予定だと発表したが、この1300億レアルを計算に入れても、まだ780億レアル足りない。経済政策関係者の間では「不測の事態も見積もると、780億レアルではなく、800~1千億レアルが必要」との声がある。
政府の経済政策班は、BNDESの資金と、各種ファンドと連結していることで昨年までに生じた収益金を融通すれば、絶対的規則の遵守は可能と見ている。政府は既に、昨年までに生じた収益金を今年の通常経費支払いにあてられるよう、連邦会計検査院(TCU)に要請済みで、現在はその返答を待っている。
だが、これらの見通し分は未確定要素で、不測の事態を回避し、絶対的規則を遵守する意味でも税収増の試みは不可欠だ。
税収を増やすため、政府は昨年、投資ファンドへの課税を強化する暫定令(MP)を用意した。だが、MP報告官のウェリントン・ロベルト下議(共和党・PR)が金融界からの圧力に屈し、政府原案を大きく変更したMP案を6日に発表してしまった。
また、給与支払時に徴収する社会保障費の割引を解消する法案も、報告官のオルランド・シウヴァ下議(ブラジル共産党・PCdoB)が15~16部門の割引維持を認めたため、予定していた通りの税収増は困難だ。
来年度の通常経費も、歳入を2千億レアル超過する見込みだ。官僚たちは、この状況は今後も4~5年続くと考えている。
TCU関係者たちは、絶対的規則を形式的に守るための試みは、「時の政権が借金し、そのツケを次期政権に回すことを禁じる」という本来の目的を有名無実化すると危惧している。
極論を挙げれば、次期政権が「前政権のツケを払うのは御免」とし、絶対的規則廃止を言い出す可能性も否定できない。
現在はリオ州に治安部門への直接統治令(IF)が出ており、絶対的規則の変更は出来ない。しかしながら、政府とTCUスタッフは、19年度の予算提出時には絶対的規則の柔軟な適用が出来るよう、議論を重ねている。