8日、民主党(DEM)党大会が開かれ、ロドリゴ・マイア下院議長が同党公認の大統領候補に指名された。マイア氏は、長らく選挙協力してきた民主社会党(PSDB)から離れ、現テメル政権の代表としてでもなく、独自の立場で大統領選を戦う。8日付現地紙やサイトが報じている。
8日に行われた党大会で、DEMはマイア氏を正式に大統領選の候補に選んだ。同党が大統領選に候補を出すのは、前身政党の自由前線党(PFL)が1989年に擁立したアウレリアーノ・シャヴェス氏以来で、実に29年ぶりのことだ。
DEMは、1994年の大統領選以来、2002年の選挙を除き、カルドーゾ元大統領をはじめとしたPSDBと常に連立してきた。
ところが、今年は連立するどころか、マイア氏は、PSDBの有力候補でサンパウロ州知事のジェラウド・アウキミン氏に関し、「良い知事ではあるが、国政となるとどうか。PSDBは今や労働者党(PT)よりも拒絶率の高い政党だ」と発言し、強く牽制している。
この発言に関し、当のアウキミン氏は「DEMとの仲なので、決選投票の際に支持してくれれば」と気に留めなかったが、PSDB関係者の中には「こういう発言をされると、近づこうにも近づけない」と憤慨している人たちもいるという。
また、16年7月に下院議長に就任してしばらくは、「テメル大統領に忠実」との印象で見られていたマイア氏だが、今回の選挙は連邦政府代表としてのものではないという。
そのことは、DEMの要人のひとりで、8日の党大会で同党党首に選ばれたバイア州サルバドール市長のACMネット氏の、「彼は連邦政府の代表ではない。ジウマ前大統領の罷免に賛成し、ブラジルの転換点において、主に経済面を変えるために出てきた候補だ」との言葉からもうかがえる。
テメル大統領とマイア氏との関係は、ブラジル社会党(PSB)からの移籍議員の獲得合戦でDEMと大統領の民主運動(MDB)がぶつかって以来、険悪化している。
現時点の世論調査でのマイア氏の支持率はわずか1%に過ぎず、「1次投票で敗れ、決選投票でアウキミン氏と予想される中道右派の候補の支持に回るのでは」と見る向きも多いのが現実だ。
だが、連立与党の中で2番目の勢力を誇る進歩党(PP)がマイア氏との連立に積極的な構えを見せている上、現在は、連帯(SD)や社会秩序共和党(PROS)、ブラジル共和党(PRB)からの支持取り付けをPSDBと争っている状況だから、選挙キャンペーン時の放送時間は決して少なくはなさそうだ。