連警が9日、ラヴァ・ジャット作戦第49弾のブエナ・フォルトゥーナ作戦を敢行し、経済学者のアントニオ・デウフィン・ネット元財相(89)宅の家宅捜査などを行ったと同日付現地紙サイトが報じた。
同作戦は、パラー州のベロ・モンテ水力発電所建設での不正を巡るもので、パラナ州クリチバ市とサンパウロ州内のサンパウロ市、グアルジャー市、ジュンジアイー市で家宅捜査令状9件が実行に移された他、デウフィン・ネット氏と関連企業の資産440万レが差し押さえられた。
連警によると、ベロ・モンテ発電所建設を請け負ったノルテ・エネルジアは契約金額の1%を賄賂として払っており、労働者党(PT)と民主運動(MDB)に各6千万レアル、デウフィン・ネット氏に1500万レアルが支払われたという。
ノルテ・エネルジアはアンドレ・グチエレス、カマルゴ・コレア、オデブレヒト、OASの4社からなるコンソーシアムだ。デウフィン・ネット氏への疑惑捜査の発端は、アンドレ・グチエレスの幹部が同氏に1500万レアル払ったと供述した事だ。
9日の連警の発表によると、ベロ・モンテ発電所建設に関わる賄賂は、アントニオ・パロッシ元財相を介してPTとMDBに振り分けられていたが、パロッシ氏がデウフィン・ネット氏に1%の10%を払うよう要請したという。
デウフィン・ネット氏への金は、同氏の甥で企業家のルイス・アポロニオ・ネット氏の会社の口座などに振り込まれたとされているが、現時点までに確認済みの金額は440万レアルのみ。デウフィン・ネット氏は、2016年8月にオデブレヒトの賄賂管理部門から24万レアルもらったと供述しているが、同氏の弁護士は、この金はコンソーシアム形成時のコンサルタント料などで、税金も納めたと弁明している。
デウフィン・ネット氏は、1967~74年に財相、75~78年は在仏大使、79~85年は農務相と企画相を歴任。1987年2月~2007年2月は下議も務めた。軍政時代の奇跡的な経済成長を導いて、「魔術師」の異名も取った経済学者で、信任も厚く、大学でも教えている。
今作戦では不正入札と贈収賄、資金洗浄、犯罪組織形成の罪で、デウフィン・ネット氏と甥、パロッシ氏、PTやMDBなどが捜査線上に上っているが、逮捕に足る証拠が揃わず、家宅捜索のみとなった。
ベロ・モンテ発電所建設では常に、自然環境や社会環境の破壊が問題視されてきたが、今作戦により、財政面での損失も表明化した。
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