テメル大統領の民主運動(MDB)が10月の大統領選での出馬候補を出しあぐねているのは、大統領に極めて近いMDBの要人たちの間で意見が分かれているためだと、12日付エスタード紙が報じている。
10日付本紙でも報じたように、8日の時点で10月の大統領選には既に11人が出馬の意思表示を行っているが、現与党のMDBは今日までまだ候補を絞りきれないでいる。
その理由は、MDBの党の大物や連邦政府内の主力閣僚の間で、誰を出馬させるかの意見が割れているためだという。
MDB党内では現在、大統領選に関し、大きく二つの流れがある。ひとつは、まずは「テメル大統領を続投出馬させる」というものだ。
テメル続投派の中心人物となっているのは、モレイラ・フランコ大統領府事務局長だという。
テメル氏続投の声は、連邦政府がリオでの直接統治を宣言して以来、「現政府の印象が上がった」として、これまで低支持率だったテメル氏の再評価も期待して起こっているものだ。
もう一方の意見は、「連立与党代表として、エンリケ・メイレレス財相(社会民主党・PSD)を候補に立てる」というものだ。
この考えを強く訴えているのは、エリゼウ・パジーリャ官房長官だと言われている。事実、昨年末から今年はじめにかけて、マスコミもそれが連邦政府の基本方針であるかのように報じていた。
だが、メイレレス氏所属のPSDが、現在は連立政党から離れている民主社会党(PSDB)のジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事の支持に回りたいとの強い意向を示し、同党の支持が得にくくなっている。これに対して、メイレレス氏擁立を支持するMDB党首で上院政府リーダーのロメロ・ジュカー氏は先月、メイレレス氏を絶賛し、さらにPSDを連立与党から逃さないための牽制も行っていた。
こうした状況もあり、「メイレレス氏がMDBに移籍して候補になるのではないか」との憶測も流れてきている。
また、同党の重鎮でテメル大統領の政治顧問的存在のジョゼ・サルネイ元大統領は、テメル氏の出馬を望んでいるモレイラ氏に近い考えと目されてはいる。ただ、同氏は最近、モレイラ氏に「私が大統領時代の失敗は自分の政治を受け継ぐ候補者を立てなかったことだ。同じ轍を踏まないためにもテメル氏にはしっかりとした後継者が必要だ」と語ったという。
なお、テメル氏に対する一般の評価は、最高裁が今月、MDBへの選挙献金でオデブレヒト社との贈収賄工作を行った一人としてテメル氏を捜査対象とすることを検察庁に承認したことなどで、再び下がりかけている。