保健プランの掛け金徴集開始に反対し、ブラジル郵便公社職員が無期限ストを呼びかけたが、初日12日の参加者は全体の2割にも満たなかったと、12、13日付現地各紙・サイトが報じた。
同公社職員は全国に10万6千人余りいるが、12日は全職員の9割弱にあたる9万2212人が出勤した。
全国郵便公社職員連盟(Fentect)のジョゼ・ダ・シウヴァ事務局長は、スト参加率は25%程度と見ている。同氏は「現場の酷い現状をみて、スト参加を諦めた職員もいるのでは」とし、参加者が少なかった事を認めている。
12日には高等労働裁判所(TST)が、郵便公社職員に、従来は免除されていた保健プランの掛け金支払いを義務付ける判決を下した。同公社職員の負担額は給与に応じて増減する。月給2500レアルの職員の負担額は給与の2・5%、月給が2万レアル超の職員の負担率は4・4%となる。
職員の配偶者や子供などの掛け金も有料となるが、職員の両親に与えられてきた恩恵は、19年7月まで継続される。
FentectはTSTの決定は「大いに疑問がある」とし、スト継続を呼びかけると共に、13日午後に新たな総会を招集することを決めた。しかし、ストに入った32団体中8団体は、12日中にスト中止を決め、13日から業務に戻ると発表した。
郵便公社職員用の保健プランの経費は18億レアルで、収益の1割がその支払いに消えている。エスタード紙は、昨年の郵便公社の決算は23~24億レアルの赤字になると予想しており、2013年から5年連続の赤字決算はほぼ確実だ。
郵便公社はこの状態を脱すべく、自主退職(PDV)を呼びかけ、郵便局の閉鎖も行ってきた。経費削減のための人員整理による配達人などの不足は、スト前から各種請求書を含む郵便物の不着や遅配を招いていたが、ストで配達事情悪化を恐れる声も出ている。
ネット通販各社は、配達に支障が出ないよう、他の運送会社を利用し始めた。サンパウロ州消費者保護センター(Procon)は、郵便公社を通じた文書や小包の配達不履行で被害を被った場合、消費者は弁償や値引きを求めて訴えることが出来ると発表した。ただし、請求書や払込用紙不着で払えない時も、支払義務は免除されないので注意するよう呼びかけた。支払期日が近いのに請求書などが来ない時は、店頭やインターネットで再発行手続きを取って払う必要がある。
また、ジウベルト・カサビ科学技術相は13日朝、TV番組のインタビューで「政府が郵便公社に資金を注入する事はない」が、郵便公社を民営化する可能性はありえない話ではないとした。