【既報関連】パラー州バルカレナで2月17日に起きたイドロ・アルノルテ社(Hydro Alunorte)の鉱滓入りの汚泥漏出事故後、検察庁と州検察局が同社鉱山で別の違法放水路を発見したと12日付現地紙サイトが報じた。同社はノルウエーに本社を置く世界最大のアルミ製造会社で、ブラジルで生産する製品の86%は輸出されている。
環境破壊の実態や、汚泥、鉱滓、化学物質の漏出が社会や環境に与える影響の調査、改善への取り組み、被災者への賠償などのための、検察庁と州検察局の合同特捜班は7日に設置された。
今回発見された放水路は、環境省にも水資源庁にも届けられておらず、未処理の汚水が垂れ流されていた。会社側はこの放水路について、雨が多くてダムの容量を超えた水を流すためのもので、排水にはボーキサイトの粉や苛性ソーダは混じっているが、鉱滓は混入していないと釈明した。
同様の説明は2月の汚泥漏出後も行われたが、この時はエヴァンドロ・シャーガス研究所(IEC)が、同社鉱山からの汚泥は酸化アルミニウム(アルミナ)を含む鉱石(ボーキサイト)採掘時に出る鉱滓だった事を明らかにした。検察はIECに水質や汚染の有無の調査を依頼した。
イドロ社に対しては2月28日に国立再生可能天然資源・環境院が第2鉱滓貯蔵所の使用を禁じた。同州地裁も同日、操業規模半減と鉱滓貯蔵所使用禁止を命じている。
なお、バルカレナでは12日未明、法定アマゾンの先住民や黒人奴隷の子孫らの保護活動を行う団体の理事で、イドロ社による環境汚染摘発も繰り返していたパウロ・セルジオ・ナシメント氏(49)が、トイレに起きたところを狙って射殺される事件が起きた。
同氏が所属する団体の本部はイドロ社の警備を請け負っている警官達に踏み込まれた事があり、本人も脅迫を受けて、当局に保護を求めていた。警察は犯人特定と、今回の事件がイドロ社の汚泥漏出告発と関係があるかの捜査を開始した。
なお、イドロ社は、2月末の判決後、損失緩和のために従業員を解雇する方針を発表したが、同州地裁は住民保護のため、12日に解雇を禁ずる暫定令を出した。
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