14日夜、リオ市議のマリエーレ・フランコ氏(社会主義自由党・PSOL、38)が、銃撃を受けて死亡する事件が起きた。同市議は黒人問題や人権問題の闘士として知られていた。15日付現地紙が報じている。
14日午後9時30分頃、マリエーレ氏を乗せた車がリオ市中央部エスターシオ区ジョアキン・パリャーレス通りを走っていたところ、背後から近づいた車が併走状態となり、少なくとも9発を撃ち込んで逃げた。
9発中、少なくとも4発は同市議の頭に当たった。運転手をつとめていたアンデルソン・ペドロ・ゴメス氏も、背中に3発を浴びて死亡した。同乗していた同市議秘書のフェルナンダ・シャヴェス氏は、破片で傷を負ったのみで済んだ。
事件当初はまだ人通りも多く、地元では衝撃が走った。付近には、16年のリオ市長選挙で次点となったマルセロ・フレイショ州議(PSOL)もいた。同州議は「マリエーレは私の下で10年間働いていたが、誰かに狙われているような様子ではなかった」と今回の事件を怪しみ、「何者かによって粛清されたに違いない」と主張した。
マリエーレ氏は市議会きっての人権運動推進派議員として知られ、この日も、黒人青年の社会進出を促すイベントからの帰りだった。
友人が警察と麻薬密売者との銃撃戦で命を落としたことで人権運動の道に入った彼女は、リオ・キリスト教大学で社会学を学んだ後、フルミネンセ連邦大学院で行政学の修士号を取得。16年のリオ市議選では5番目に多い得票数で初当選を果たしていた。
市議会でのマリエーレ氏はセクシャル・ハラスメント防止や合法的中絶のプロジェクトに携わっており、2月以降は、連邦政府によるリオ直接統治に関する特別委員会の委員も任されていた。
また、ネット上では黒人差別問題やファヴェーラ住人に対する警察の暴力問題も追及していたため、国際的な人権団体などからも厳密な捜査を求める声が上がっている。
こうしたいきさつもあり、今回の事件に関しては「軍警や市警による暗殺説」も浮上している。現在は市警殺人課が鑑識や防犯カメラの映像解析を行っており、9ミリ口径の銃が使われたことなどが判明している。ラウル・ジュングマン治安相らは連邦警察に捜査させることも示唆している。
また、マルセロ・クリヴェラ・リオ市長は3日間の喪に服すことを宣言した。テメル大統領も「彼女の死は民主主義に対する暴力だ」とし、悲しみと怒りを表した。