暦の上では秋となったばかりの20日午後、サンパウロ市を猛烈な雨が襲った。市内各所で水害が発生し、高齢女性と赤ん坊の2人が亡くなると共に、少なくとも6人の負傷者が発生したと、22日付現地各紙が報じた。
この大雨は、残暑の空気に寒冷前線がぶつかって発生したもので、多くの建物が倒壊し、62本の樹木も倒れた。
大水によって冠水し、通行不能となった道路も多数あった。その中にはマルジナル・チエテ、レボウサス大通りなどの主要道路があり、5月23日大通りと7月9日大通りの交差地点でも大水の被害が起きた。
市内西部アグア・ブランカ地区のファヴェーラで発生した家屋の倒壊、流失事故では、1歳8カ月(「1歳程度」とも)の赤ん坊が命を落とした。同地区の負傷者は3人に上った。
市内北部のリマン地区では大水による激流に直撃された家屋が倒壊し、中にいたヴィトリアーナ・レオンさん(80~85歳と地元報道も錯綜)が亡くなった。
西部のアウト・デ・ピニェイロス地区のシルヴィア・セレステ・デ・カンポス街では、倒れた樹木の下敷きになった男性が重傷を負った。
サンパウロ市緊急事態管理センターによると、20日午後6時現在の平均降水量は35ミリだった。これは3月の月間平均降水量(175・5ミリ)の約2割だ。最も雨量が多かったのは65・1ミリの西部で、55・3ミリのセントロが続いた。市は、市民が命を落としたことを悼むと共に、雨量は平均を大きく上回っていたとの書面を出した。
20日午後11時までの段階で、消防には、少なくとも62本の樹木倒壊の通報と、増水による市民の孤立化や建物倒壊に伴う出動要請が25件入っていたという。
20日の雨は交通にも大きく影響した。市内各所で、停車していた車が水に浮かんでいる様子もみられ、胸の高さまで水に浸かりながら進もうとする市民もいた。5月23日通りや7月9日通りは通行止めとなり、セントロではアニャンガバウーのトンネルも一時封鎖された。
午後8時にはサンパウロ市交通工学公社(CET)が、監視対象道路の9・7%で交通渋滞が発生しており、この時間帯の平均渋滞率6・2%を大きく上回っていると発表した。