21日、最高裁での審理の途中、ルイス・アルベルト・バローゾ判事とジウマール・メンデス判事の2人が、17年10月に続く、2度目となる激しい口論を行い、カルメン・ルシア長官が審理を打ち切る事態が生じた。22日付現地紙が報じている。
口論が起きたのは、企業からの出所を隠した選挙献金の是非を問う投票の最中だった。
この席でメンデス判事は、バローゾ判事に対し「私は妊娠中絶の件の時と同じことを希望したい。つまり小法廷で決めてほしい」と挑発した。
これは、16年11月に「妊娠3カ月までの中絶は処罰を免れるか否か」という問題を扱った時、報告官だったバローゾ判事が、大法廷ではなく、自身の所属する第1小法廷での審理で終わらせるよう動いたことを皮肉ったものだった。
これにバローゾ判事は激怒し、法廷内で使う敬称「ヴォッサ・エセレンシア」を使うのを忘れ、「悪意に満ちたことを言ってくれるな。あんたは悪い人だ」と思わず口走るほどに激しい剣幕で言い返した。
「これまでは(カルメン・ルシア最高裁)長官やルイス・フクス判事を批判していたが、今度は私か」「あなたは時代遅れで精神分裂の兆候もある」と、バローゾ判事は止まらなくなった。これに対して、メンデス判事も「弁護士事務所を閉じることを薦める」と言い返し、審理は中断した。
この口論には伏線がある。昨年10月、バローゾ判事は、企業家や政治家に対して簡単に人身保護令を出すメンデス判事に対し、「随分とホワイト・カラーの人に甘いんですな」との批判を行った。メンデス判事はこれに対して、「あなただって(労働者党の元官房長官)ジョゼ・ジルセウ氏を釈放させた」「イタリアのテロリストだったチェザーレ・バティスティ氏の弁護を担当した」と反論していた。
一般に、バローゾ判事は左翼寄り、メンデス判事は民主社会党(PSDB)やテメル政権といった中道右派寄りの判断をすると見られており、最高裁内ではかねてから対立していると目されている。
メンデス判事はバローゾ判事と口論になる前にも、「2審有罪で刑執行か否か」の判断を審理日程に組もうとしないカルメン・ルシア長官を公然と批判するなどして物議も醸していた。
なお、バローゾ判事はこの後、同僚たちに審理打ち切りとなるような事態を招いたことを詫びた他、最高裁判事に就任した時点で、それまで働いていた弁護士事務所を辞めたことを明らかにする書状をカルメン長官に送付している。
22日の最高裁では、21日に中断された審理終了後に、2審有罪後での刑執行を免れるためにルーラ元大統領が提出した人身保護令の適用に関する審理が行われることになっており、白熱した議論が予想される。