リオ・グランデ・ド・スウ州の連邦第4地域裁(TRF4)は26日、サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を介した収賄と資金洗浄疑惑に関する、ルーラ元大統領の控訴を棄却した。だが、22日に最高裁が同氏の人身保護令適用か否かの投票を4月4日に延期し、それまでは逮捕できないと保証したことで、労働者党(PT)側も10月の大統領選に向けてルーラ氏の出馬を強行する意向を固めた。26日付現地紙が報じている。
26日にTRF4で行われた控訴審は、ルーラ氏弁護団が1月24日に行われた第2審に関する詳細説明を求めたものだが、3人の判事が全員一致で控訴を棄却。収賄と資金洗浄の容疑での12年1カ月の実刑判決が変わることはなかった。
通常なら、この時点でルーラ氏逮捕は可能だった。だが、最高裁が22日に行った判事投票で、ルーラ氏が逮捕を逃れるために行った人身保護令の申請に関する審理を行うことと、4月4日まで審理を延長することが7対4で認められた上、少なくとも、審理が再開される4月4日までは逮捕されないことが6対5で認められた、そのため、当面は逮捕されない。
この22日の最高裁判断以降、PT内部では、諦めムードになっていた「ルーラ氏の大統領選出馬」の気運が再び盛り上がり始めているという。
仮に4月4日の最高裁投票で人身保護令が適用されて逮捕を逃れたとしても、「2審で有罪」ということでフィッシャ・リンパ法には抵触するので、大統領選出馬はなおも難しい。だが、PT陣営は、仮にそうなってもあえて代役を立てずに、ルーラ氏の名前で大統領選に登録する予定で行こうとする空気が強まったという。それくらい、22日の最高裁判断はルーラ氏の行く末に楽観的な気運を与える結果になったという。
ルーラ氏の大統領選への出馬が正式に認められるためには、TRF4への再控訴後、高等裁もしくは最高裁に控訴して、出馬無効を取り下げる暫定令を得なくてはならない。ただ、暫定令がなくても選挙高裁に出馬を届け出ることは可能で、その期限は8月15日だ。
ルーラ氏の出馬が有効であるか否かを最終的に決めるのは選挙高裁で、出馬は無効とされた場合も、選挙実施の20日前までなら候補の交代が認められる。つまり、9月17日まではルーラ氏を候補として選挙戦を引っ張るのは可能だということだ。
ルーラ氏は現在、出馬への苦しい条件にもかかわらず、南部で大統領選のためのキャンペーン活動を行っている。だが、キャラバン中の抗議行動は連日続き、25日もサンタカタリーナ州サンミゲル・ド・オエステで抗議行動が勃発。ルーラ氏の乗っていた専用バスに石や卵が投げられた他、演説会場でも、警備担当者らが傘を広げて、卵からルーラ氏を守る姿が見られた。