ブラジル南部を巡回中のルーラ元大統領のキャラバン隊が27日にパラナ州で銃撃を受け、バス2台に対し、計4発の銃弾が打ち込まれる騒ぎがあった。28日付現地紙が報じている。
キャラバン隊への銃撃は27日夜のことだった。ルーラ氏一行は、パラナ州ケダス・ド・イグアスーでのイベント後、同州のラランジェイラス・ド・スルに向かったが、銃撃はその間の高速道上で起きた。
キャラバンではバスが3台使われているが、そのうちの2台の車体に銃弾が撃ち込まれた。
また、ジャーナリストを乗せたバスのタイヤひとつが、路上にまかれていた鉄びし状のもの2個によってパンクした。
パラナ州保安局は事件後、「これらのバスの中にルーラ氏の姿はなく、ヘリコプターで移動していたと見られる」と発表したが、ルーラ氏は銃撃を免れた3台目のバスに乗っていた。
銃弾が撃ち込まれたことが判明した後、労働者党(PT)のグレイシ・ホフマン党首は会見を開き、銃弾の撃ち込まれたバスの場所を指しながら「私たちは待ち伏せ被害にあっている」と語り、「ルーラ氏は殺されるかもしれなかった。それが連中の目的だろう」と憤りを示した。
また、ルーラ氏も事件後に会見を行い、「このようなことをして私を止められると思ったら大間違いだ」「私を殺したところで独立の自由の精神は誰にも殺せない」と主張した。
収賄と資金洗浄の容疑で2審でも12年1カ月の判決を受けたのに、大統領選に向けた活動をやめないルーラ氏に対しては、一部国民が強く反発しており、南部でのキャラバンをはじめた20日以降、ほぼ毎日のように石や卵などを投げつけられる被害が続いていた。
今回の銃弾騒ぎに対して、10月の大統領選候補者たちは次々と抗議を行った。とりわけマヌエラ・ダヴィラ氏(ブラジル共産党・PCdoB)やギリェルメ・ボウロス(社会主義自由党・PSOL)といった、ルーラ氏と同じ左翼系候補たちは、ルーラ氏と今後クリチーバで直接会う予定もあり、左翼での団結を呼びかけていた。
また、ジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)をはじめとした中道や右派の候補者たちも、「暴力は何があっても許されない」「決着は投票箱でつけるものだ」と暴力行為への反対を訴えた。
なお、ルーラ氏は28日はクリチーバ市に滞在したが、この日の昼前、大統領選の極右候補ジャイール・ボルソナロ氏がサンジョゼ・ドス・ピニャイス空港に到着し、500人ほどの支持者に迎えられた。一行はそのまま、ルーラ氏がキャンペーンを行う会場に近い、12月19日広場までルーラ氏への抗議の行進を行った。