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サンパウロ市議会=社会保障制度改革を先送り=ドリア市長には痛い敗北

市議会前の道路を占拠した、社会保障制度改革に反対する集団(© Roberto Parizotti)

市議会前の道路を占拠した、社会保障制度改革に反対する集団(© Roberto Parizotti)

 サンパウロ市議会が27日、今後120日間は市職員対象の社会保障制度改革の採決を行わないとの宣言を出し、10月のサンパウロ州知事選に出馬するため、4月にサンパウロ市長の座を退く予定のジョアン・ドリア氏(社会民主党・PSDB)にとっては痛恨の敗北となった。28日付現地紙が報じている。
 ミルトン・レイテ市議会議長(民主党・DEM)は、「改革推進派からも、時間をとって新提案を検討するべきとの声が出ている」とした。120日後に社会保障制度改革を再開する時は、現副市長のブルーノ・コーヴァス氏が市長として指揮をとることになる。
 今回挫折した改革案は、市職員の社会保障費負担額を、給与の11%から14%に引き上げるものだった。ドリア市長は、サンパウロ市の社会保障費は47億レアルの赤字で、現状のままだと25年の赤字額は208億レアルに達するとして、改革の必要性を強く説いてきた。
 改革に反対してストに入っていた教員たちは、採決見送りでストを解除したが、120日後に再び改革を進めようとする場合はストを再開する事も決めた。サンパウロ市教育職組合(Sinpeem)会長でもあるクラウジオ・フォンセッカ市議(社会民衆党・PPS)は、「社会保障負担を一銭たりともあげさせない」と語った。
 サンパウロ市議会の定数は55人で、改革成立には28人の賛成が必要だった。ドリア市長は採決延期直前に、「月収5645レアル以上の職員の負担率を更に5%上げる」という項目を外した上、改革案承認の暁には「職員の最低給与を月額1132レアルから1400レアルに引き上げる」と発表したが、効果は薄かった。
 ドリア市長は同日夜、「我々は役割を果たした。我々の義務は社会保障制度改革の重要性を社会に知らせる事で、法案を通すか否かは議会が決める事だ」と語った。