伯陸軍の松田ルイ・ユタカ氏(57、三世)が、31日に公表される連邦政府の官報で、中将に昇格することが明らかとなった。日系中将としては歴代4人目。現役日系中将は、岡村アンジェロ氏、池田隆蔵氏と合わせこれで3人。かつて日系陸軍中将が3人も同時に在籍したことはない。
沖縄県人の両親のもとサンパウロ市で生まれ育った松田氏は、80年に予備士官学校を経て、84年にアグリャス・ネグラス士官学校を卒業。国連グアテマラ和平検証ミッション、伯陸軍軍事委員会主任など国外でも任務を経験してきた。
14年には少将に昇格し、南麻州ドウラードス基地の第4機械化騎兵旅団司令官として、伯陸軍が推進する新国境警備システム試験運用の大役を任じられた。16年には連邦区の総務部企画管理補佐長官を務めていた。
21日、ニッケイパラセホテルにて、ワンワン会(平崎靖之会長)主催の昇格祝いに出席した松田氏は、「ここまで昇格したのも幼少期に両親から受けた教育の賜物。日本の道徳、倫理、規律の重要性を軍人としての道を進むなかで再確認してきた。両親の教えにとても感謝している」と謝意を滲ませた。
今後、松田氏は連邦区の伯軍病院司令官として任務に就く。「新たな任務領域は門外漢であり、自身の専門や今までの経験とはかけ離れたもの」としつつ、「これまでにない挑戦になる。任務の遂行に最善を尽くしたい」と気を引き締めた。
昇格祝いには、平崎会長はじめ、森田聡在聖領事、池崎博文ACAL会長ほか、20人近くの同会関係者が祝福に駆けつけた。
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ブラジルの安全保障上の脅威について松田中将に聞くと、「具体的な外的脅威は存在しない。だが、平時だからこそ抑止が重要。現在脅威が存在しないのも、敵国が脅威とならないよう抑止が成功しているからと見ることもできる」という。一方で「残念なことに、我々は国家体制維持のために軍事力を用いなければならない」と軍によるリオ直接統治を示唆した。「強盗略奪、汚職の顕在化など、ブラジルは非常に困難な局面にある。我々が任務を怠れば、社会の分離を招きかねない。我々の主要な任務ではないが、それを手伝わなくてはならない」と残念そうに語った。ブラジルに外敵はいないが、内敵には事欠かない。とはいえ軍の存在が重要だという点では同じ。以前、民主党政権で仙石官房長官が自衛隊を「暴力装置」と呼び批判を浴びていたが、その重要性も分からない政治家が官房長官になること事態、日本が〃平和〃な証拠か。