【既報関連】27日に起きたルーラ大統領一行を乗せたキャラバン・バス襲撃事件を受け、パラナ州市警が本格的な捜査に入りつつあると29日付現地紙が報じている。
27日にパラナ州のケダス・ド・イグアスーからラランジェイラ・ド・スルに移動する過程で、ルーラ氏一行のバス2台が銃撃を受けたことで、現在、パラナ州市警の特殊作戦実行センターの2チームが捜査に動き出している。
実弾と思しき車体の傷を最初に確認した、ラランジェイラス・ド・スル市のウィルキンソン・ファビアーノ・オリヴェイラ・デ・アルーダ警部補は27日に、今回の件は「殺害未遂」との見解を表明した。アルーダ氏は「不特定多数に向かって銃弾を発したなら、殺害未遂だ」というが、同州保安局や市警幹部は28日、「裏付け捜査前の表層的な判断」とし、殺人未遂である可能性は残しつつ、当面は「火器を使用した損傷事件」として扱う意向を示した。
また、グローボ局によると、ブラジル全国の弁護士の団体がパラナ州検察局に、今回の銃撃を予告するワッツアップ上のメッセージのコピーを送付したという。その中には、「卵をゴム弾や実弾に取り替えよう。その方が効果的だ」とか、「暗いのを利用して実弾を撃ち込め」という内容のものもあったという。
同州検察局のオリンピオ・デ・サー・ソット・マイオール捜査官によると、捜査官2人が市警の捜査に随行するという。
一方、労働者党(PT)の下院議員たちは、テメル政権の連立与党議員らが野党の政治家に対する暴力的な言動を挑発していると批難した。
同党のパウロ・テイシェイラ、マルコ・マイア、セウソ・パンセラ下議らは、与党議員らがネット上などで行った、ルーラ元大統領に対する攻撃的なコメントなどを集めて連邦警察に告発する意向も示している。
PT議員らは、ルーラ氏一行への銃撃の件を、市警レベルではなく、連邦警察と連邦検察庁が扱うよう求めている。マルコ・マイア下議は政界が両極化していることを指した上で、社会現象となった社会主義自由党(PSOL)のリオ市議殺害事件を例に出して語っている。
このような騒動の中、ルーラ氏は28日夜、クリチーバで巡回最後の集会を行った。壇上には10月の大統領選の候補であるマヌエラ・ダヴィラ氏(ブラジル共産党・PCdoB)とギリェルメ・ボウロス氏(PSOL)もあがり、さながら「左翼政党による民主主義の保護」を訴えかけるものとなった。
ルーラ氏は壇上で「この集会は巡回の締めくくりではない。ファシズム打倒キャンペーンの始まりだ」と強く主張した。